じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

銀座の新名所で能公演 「三人の会」

明日からはいよいよ大型連休が始まりますね。
今日ご紹介するのは、昨年初夏に開催されて大変好評だった、観世流ホープ三人による能公演 「三人の会」 の第二回公演です。

(第一回公演のお知らせはこちら)


今回の会場はなんと、この4月にオープンしたばかりの銀座一等地にある「GINZA SIX(ギンザ シックス)」の中に出来た「二十五世観世左近記念 観世能楽堂」。
こんなおしゃれで近代的な場所に能楽堂?!と意外な感じがしますが、4月20日朝日新聞の記事を引用させていただくと「銀座は観世流の当主が17世紀前半に江戸幕府から屋敷を拝領していた場所。明治維新以後、徳川家に返上したため、約150年ぶりに拠点が銀座に戻った形だ。」とのこと。大注目のスポット内にありながら、ゆかりの地ということで、会場の雰囲気も楽しめますね。

出演は、アラフォー同世代の若き能楽師である谷本健吾、坂口貴信、川口晃平の三人。近い将来にかけて観世流を担って頂く中堅実力者たちです。
演目は、能が「八島」「海士」の二番、一調(謡い手とお囃子方一人ずつで能の一部分を謡う)が「班女」。
また今回も、梅若玄祥芸術院会員・人間国宝)、観世銕之丞、亀井忠雄(人間国宝)、山本東次郎人間国宝)、宝生欣哉など、豪華出演者も見逃せません。
名手勢ぞろいの今回の公演、残席は本当に残りわずかなようですので、チケットはお早めにお求め下さいませ!!また事前講座などもあるようですので、詳しくは詳細からチェックしてみてくださいね。

「第二回 三人の会」

能「八島」川口晃平
狂言「貰聟」山本則重
一調「班女」谷本健吾
能「海士」坂口貴信

【日時】
2017年6月10日(土)
13時開演(正午開場)17時40分頃終演予定

【会場】
GINZA SIX 地下三階 観世能楽堂(全席指定)

詳細はこちら

(M)

運動会CDの決定版!じゃぽキッズ運動会発売!

本日、大人気の平多舞踊研究所監修による運動会CD「じゃぽキッズ運動会」シリーズ発売日です!
注目は、運動会には欠かせない、ヒット曲をブラスアレンジした【ヒットヒットマーチ】。


今回は、「J-POPスタンダード集」として、今年大ヒットした「恋ダンス」でおなじみの「恋」をはじめ歴代の春の選抜甲子園の入場行進曲が沢山収録されています!もちろん、映画「君の名は。」のテーマ「前前前世」や、とと姉ちゃんの主題歌「花束を君に」も収録!
そしてボーナス・トラックには、今でも運動会で使用されることが多く、リクエストの多い「ビューティフル・サンデー」を収録!親子三代で楽しんでいただけます!!
運動会が盛り上がること間違いなしのCDです!
詳しくは【こちら】
オリジナルの運動会CD1〜3も、楽しく踊れる曲ばかり!なんと今回からは、手に入りにくかった城野賢一先生の作品も入り、さらにパワーアップ!!振り付け動画がある曲もあるので、是非チェックしてみてください!どうしてもわからない曲がある場合は、是非講習会(日程は後日UP)に出てみてくださいね!みなさん初めての方も和気あいあい、楽しいですよ〜。

バン・バン・ブー体操 「カミナリ体操」に続く、たのしい体操第2弾! 毎日できる、楽しい体操です。

鳴子ドラゴン!個人的にイチオシの曲です!戦隊アニメ風のカッコイイ曲にのって、鳴子を鳴らし、龍が登場!

ポンポン・パラダイス!ポンポンピピポン〜!かわいくたのしい曲にのって、元気にダンシング♪

★詳細はこちらの【じゃぽキッズ運動会】のページからご確認くださいね♪


(まりちょ)

『日本音楽のなぜ?』

当財団発行のCDの解説や、紀尾井小ホールなどの邦楽演奏会のナビゲーターとしてもおなじみの竹内道敬先生が、『日本音楽のなぜ?』という本を出されました。

(左右社 定価:1850円+税 B6判/並製/200ページ)
日本音楽のなぜ? 歌舞伎・能楽・雅楽が楽しくなる | 左右社
放送大学での講義をもとに執筆されたもので、以前、教材としてまとめられた『日本音楽の基礎概念』という著書の新装改訂版です。教室で先生のお話をきいているような文体でわかりやすく、気楽に読めました。
気になる「なぜ?」の内容ですが、目次には次の15の疑問が並んでいます。

1.日本には日本音楽があるのか
2. なぜメロディーがないのか
3. なぜノリが悪いのか
4. なぜ何を言っているのかわからないのか
5. なぜ指揮者がいないのか
6. どのように伝承されてきたのか
7.どのように作曲されるのか
8.なぜ流儀・流派があるのか
9.なぜ立って演奏してはいけないのか
10.なぜ語尾を震わせるのか
11.なぜ金属製の楽器がないのか
12.なぜ調律・調弦をしながら演奏するのか
13.なぜ聴く機会がないのか
14.伝統芸能・伝統音楽とは何か
15.日本音楽の特色と将来

この15の疑問に答えるという構成になっていますが、それぞれに必ずしも明確な答えがあるわけではありません。しかし、そこは自由自在に日本音楽の世界を語る先生のことですから、歴史のお話もあれば、昭和の名人たちのエピソードもありで、話題は広がっていき、それがまた面白いのです。印象に残った部分を少し引用してみます。

日本音楽は長い歴史があります。そしてそれはたがいに影響し合い、複雑な形をしています。一言では説明できません。別のところで申し上げるように、その根本には自然の神に対する恐れと尊敬がありました。そして言葉を大切にする伝統がありました。それらはさまざまに形を変えて、現在に至っているのですが、いまでも外部から影響をうけて、少しずつ変化しています。・・・

ここから先は、ぜひ本を手にとって読んでみてください。
副題に「歌舞伎・能楽雅楽が楽しくなる」とあるように、雅楽能楽から説き起こしていますが、やはりご専門の三味線音楽について多くの紙面が割かれています。歌舞伎に関心がある方には、とりわけ興味深い内容かと思います。
そして、「おわりに」で次のように締めくくられています。日本音楽の将来のために、感想を伝えることならば、ささやかながら私にもできるかもしれないなぁと思いながら本を閉じました。

ぜひともナマの演奏を聴いていただきたいのです。そして感動した、良かったという褒めの言葉を演奏家に伝えていただきたいのです。たまたま会うことがあって褒めるのもいいのですが、それこそハガキ一枚でいいのですから、演奏を聴いた後すぐに、褒めていただきたい。実は演奏家にはそういう反響が伝わっていないのです。ナマの反響ほど本人を励ますことはありません。 (中略)
そうして優れた演奏家を育てるのがあなたの仕事なのです。そうすればこの素晴らしい日本の音楽も勢いを盛り返して、次の世代に伝わっていくことでしょう。どうぞ積極的にナマの演奏を聴いて(良かったら)褒めてあげてください。お願いします。

(Y)

第47回邦楽演奏会のお知らせ

立春を迎えたとはいえ寒さのきびしい日が続いていますが、東京では梅が咲き初めました。邦楽の演奏会もこの時期は少なめですが、邦楽の各ジャンルが一堂にそろう「邦楽演奏会」が、今年は2月25日(土)に国立劇場小劇場で開かれます。

主催は邦楽実演家団体連絡会議で、人間国宝から若手まで各ジャンルを代表するメンバーが出演します。
今年で47回を数える歴史ある演奏会ですが、今回のテーマは「江戸・東京にちなんだ曲を中心に・・・」。なじみのある地名が出てくれば、その曲がいっそう身近に感じられることでしょう。
今年は新しい企画も用意されています。第一部の前半に、子供も楽しめる演目が選ばれていることです。この部分だけ特別料金で鑑賞することもできますので(小・中・高校生の子供と付添保護者のみ対象)、お問い合わせください。
また、これまでの「邦楽演奏会」は義太夫、清元、古曲、三曲、新内、常磐津、長唄が中心でしたが、今年はさらに琵琶と小唄が加わりました。昨年新たに琵琶の人間国宝に認定された奥村旭翠さんの演奏もあります。
ナビゲーターをつとめるのは、古典芸能に造詣がふかい元NHKアナウンサーの葛西聖司さん。各曲の聞きどころなど、わかりやすく説明くださることと思います。
第一部が12時開演(11時開場)、第二部が16時開演(15時30分開場)ですが、それぞれの開演前と休憩時に、ロビーで三味線、箏(こと)、尺八、琵琶、鳴り物などの体験もできます。毎年、希望者でいっぱいになるコーナーです。春も近い一日、ぜひ国立劇場でお楽しみください。

第47回 邦楽演奏会
2017年2月25日(土)
第一部 12時開演(11時開場)
第二部 16時開演(15時30分開場)
会場  国立劇場小劇場
入場料  一般3,000円 学生1,500円
【お問い合わせ先】
日本三曲協会事務局 Tel.03-3585-9916(電話予約のみ/平日10:00〜17:00)
【チケット販売】
e+(イープラス) http://eplus.jp/(パソコン&携帯)
国立劇場チケットセンター(窓口のみ)

演目と出演者はこちらをご覧ください。(クリックすると拡大します)

(Y)

《萱野茂没後10年記念企画 アイヌ語を贈るプロジェクト》開始!

イランカラテ。
アイヌ語で「こんにちは」「はじめまして」。『萱野茂アイヌ語辞典』にはこんな風に書いてあります。イ=それ(あなた)の、ラ=心、カラ=触れる、テ=させる → 〈あなたの心にそっと触れさせていただきます〉という意味。


萱野茂氏(かやの しげる 1926-2006)


このたび財団では、萱野茂氏の没後10年という節目にあたる2016年から企画した、貴重なアイヌ語の資料を寄贈するプロジェクトを実施しています。詳しくはコチラ⇒【萱野茂のアイヌ神話集成】萱野茂没後10年記念企画 アイヌ語を贈るプロジェクト – 日本伝統文化振興財団


寄贈する作品内容(CD11枚、書籍10冊、VHS1巻)


昭和30年代テープレコーダーはまだ珍しく、録音テープが大変に高価だった時代に、「アイヌの古老たちの語りや言葉を、今録音しなければアイヌ語は失われてしまう」という強い使命感を持って記録に臨んだのが萱野氏でした。自らが録音し、選び、執筆したアイヌの壮大な物語を、体系的にまとめたものが『萱野茂アイヌ神話集成』です。
アイヌ文化に触れ、アイヌの物語を知る上でも、また言語学的資料としても大変に貴重かつ充実した内容を備えた資料です。ちなみに、第52回 毎日出版文化賞(1998年)、第14回文化庁芸術作品賞(1999年)を受賞した作品です。CDと書籍は完全に対応していますので、CDを聴きながら、アイヌ語のローマ字表記、日本語の訳を読むことができます。

萱野氏がアイヌ民族初の国会議員として尽力したのは、1997年「アイヌ文化振興法」の成立でした。このことで、アイヌ文化の保存に光が差し込みました。さらに「二風谷ダム裁判」では、アイヌ民族が「先住民」であるという札幌地裁の判断を勝ち取り、萱野氏が亡くなってからも2007年の国連における「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択、2008年の「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」が国会の全会一致で議決、以後様々な取り組みが急速に現実味を帯びてきました。オリンピック・パラリンピックを迎える2020年には、北海道白老に「国立アイヌ民族博物館」が開館する予定です。


(二風谷にて)

私たちは、萱野茂氏をはじめとするアイヌ民族の誇りと文化の保存と発展に尽くした先人たちの努力に心からの敬意をはらうと共に、アイヌ文化がより広く深く理解され、世代を越えて継承されていくことを心から願って、自分たちにできる取り組みを今後も続けて行きたいと思います。


(二風谷にて)

(やちゃ坊)

「伝統を未来に・・・」2017


あけましておめでとうございます
日本伝統文化振興財団は、平成5年の発足以来、日本の伝統文化の振興と発展に向けた公益事業に取り組んでおります。
本年も伝統芸能の記録・保存・公刊をはじめ、公演事業、国際交流、教育支援など、幅広い視点で伝統文化を支える活動を進めてまいります。
皆さまには変わらぬご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
     平成29年 元旦
            公益財団法人日本伝統文化振興財団
財団ホームページ → 公益財団法人 日本伝統文化振興財団
CD・DVD作品検索
公演情報
                  

能への扉「融 舞返」

早いもので今年もあと一月あまり。朝晩の寒さも厳しくなってきました。空気がピリッとして透明になってくるこの季節になると、毎晩月を見上げるのが楽しみになってきます。残念ながら私、先日のスーパームーンは見逃してしまいましたが、今の時期の月は、一層冴えわたるというか、何か思いを馳せずにはいられない美しさです。
そんな月への日本人の特別な想いは、今も昔も変わりません。
今回是非おすすめしたいのが、能の名曲「融」の公演です。

12月3日(土)14時開演 
能への扉vol.4 ひろがる幽玄の世界in表参道
能「融 舞返」谷本健吾
会場/銕仙会能楽研修所

「あら名残惜しの面影や」。ご存知の方も多い、世阿弥の傑作で、紫式部源氏物語』の主人公・光源氏の実在モデルの一人ともいわれる源融(みなもとのとおる)の物語。
地歌・筝曲では石川三つ物の一つとされている大曲「融」の元曲ですので、地歌ファンも必見の舞台です。
詳しいあらすじはコチラ

また、今回の公演の見どころの一つで「舞返」という小書(特別演出)がつき、いつもとは違う演出がご覧いただけます。終演後には「融を終えて【舞返】小書演出の効果を解き明かす」30分程度の無料講座もあるので、より理解が深められます。
チケットはこちらから

年末年始は、伝統芸能に触れる機会の多くなる時期です。是非能楽堂へ足をお運びいただき、一時だけでも、年末の慌ただしい気持ちを落ち着けて、感慨に耽ってみてください。

(M)