じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第21回日本伝統文化振興財団賞と第6回中島勝祐創作賞

平成29年度、第21回日本伝統文化振興財団賞の受賞者は、地歌箏曲および平家の演奏家、菊央雄司(きくおう ゆうじ)さんです。
菊央雄司さん
日本伝統文化振興財団賞」は、わが国の無形文化の保存・振興・普及に努めることを目的とする当財団の顕彰事業の一環として、伝統芸能分野で将来いっそうの活躍が期待される優秀なアーティストを毎年一名顕彰するものです。
6月1日(木)午後2時から東京の紀尾井小ホールで贈呈式があり、ご本人による記念演奏、地歌「江戸土産(えどみやげ)」が披露されます。
菊央さんは地歌箏曲演奏家として関西を中心に活動し、上方舞の地方(じかた=伴奏者)としても活躍しています。東京では聴く機会が少ないので、ぜひお出かけください。

「第二十一回日本伝統文化振興財団賞」「第六回中島勝祐創作賞」贈呈式
・日時 2017年6月1日(木)午後2時 開会(午後1時30分 開場)
・会場 紀尾井小ホール
・入場無料【事前申込が必要です】

入場ご希望の方は、こちらから事前申し込みを→ 「第二十一回日本伝統文化振興財団賞」「第六回中島勝祐創作賞」贈呈式【事前申込の受付は終了しました】 | jtcf.jp – 公演

近年はさらに、伝承が途絶えることが危惧されている平家(平家語り、平曲)にも挑戦しています。今年の4月4日には、「平家物語の世界 ―語りの伝統を次代に―」という公演で、琵琶と語りを披露されました。(→ 平家物語の世界 ―語りの伝統を次代に― | jtcf.jp – 公演
菊央さんの贈賞理由は次のとおりです。

【菊央雄司 贈賞理由】  地歌箏曲演奏家として確かな技量と表現力に定評があり、国内外の演奏会や上方舞の地方(じかた)での活躍も近年とくに注目されている。故菊原初子(人間国宝)の後継者菊原光治に師事し、地歌箏曲の古典を広く修めるほか、最近は地歌箏曲と深い関係のあった平家(平曲)の伝習にも真摯に取り組み、その成果には多くの関心が寄せられている。また、文楽の研修生に地歌箏曲、胡弓の指導を行い、学校でもその普及・啓発に尽力するなど、地歌発祥の上方(関西)に軸足を置いた活動は、日本の伝統音楽の将来を担う貴重な才能として期待が寄せられる。

プロフィールはこちらをご覧ください。→ 菊央 雄司《地歌箏曲、平家》/第21回(平成29年・2017年度)受賞者 | 公益財団法人 日本伝統文化振興財団
  
また6月1日には、日本伝統文化振興財団賞の贈呈と合わせて、中島勝祐創作賞の贈呈式と受賞作品の披露演奏もあります。第6回を迎えた今年は、常磐東蔵さんの「宝船売り」が選ばれました。
常磐東蔵さん
常磐津の新作ですが、お正月気分でおめでたく、また楽しい作品なので、こちらもぜひお聴きいただきたいと思います。
中島勝祐創作賞について、詳しくはこちらのページをご覧ください。→ 中島勝祐創作賞 | 公益財団法人 日本伝統文化振興財団
受賞作品と常磐東蔵さんのプロフィールについてはこちら。→ 第6回 中島勝祐創作賞(受賞作品:「宝船売り」常磐津東蔵) | 公益財団法人 日本伝統文化振興財団

(Y)

銀座の新名所で能公演 「三人の会」

明日からはいよいよ大型連休が始まりますね。
今日ご紹介するのは、昨年初夏に開催されて大変好評だった、観世流ホープ三人による能公演 「三人の会」 の第二回公演です。

(第一回公演のお知らせはこちら)


今回の会場はなんと、この4月にオープンしたばかりの銀座一等地にある「GINZA SIX(ギンザ シックス)」の中に出来た「二十五世観世左近記念 観世能楽堂」。
こんなおしゃれで近代的な場所に能楽堂?!と意外な感じがしますが、4月20日朝日新聞の記事を引用させていただくと「銀座は観世流の当主が17世紀前半に江戸幕府から屋敷を拝領していた場所。明治維新以後、徳川家に返上したため、約150年ぶりに拠点が銀座に戻った形だ。」とのこと。大注目のスポット内にありながら、ゆかりの地ということで、会場の雰囲気も楽しめますね。

出演は、アラフォー同世代の若き能楽師である谷本健吾、坂口貴信、川口晃平の三人。近い将来にかけて観世流を担って頂く中堅実力者たちです。
演目は、能が「八島」「海士」の二番、一調(謡い手とお囃子方一人ずつで能の一部分を謡う)が「班女」。
また今回も、梅若玄祥芸術院会員・人間国宝)、観世銕之丞、亀井忠雄(人間国宝)、山本東次郎人間国宝)、宝生欣哉など、豪華出演者も見逃せません。
名手勢ぞろいの今回の公演、残席は本当に残りわずかなようですので、チケットはお早めにお求め下さいませ!!また事前講座などもあるようですので、詳しくは詳細からチェックしてみてくださいね。

「第二回 三人の会」

能「八島」川口晃平
狂言「貰聟」山本則重
一調「班女」谷本健吾
能「海士」坂口貴信

【日時】
2017年6月10日(土)
13時開演(正午開場)17時40分頃終演予定

【会場】
GINZA SIX 地下三階 観世能楽堂(全席指定)

詳細はこちら

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運動会CDの決定版!じゃぽキッズ運動会発売!

本日、大人気の平多舞踊研究所監修による運動会CD「じゃぽキッズ運動会」シリーズ発売日です!
注目は、運動会には欠かせない、ヒット曲をブラスアレンジした【ヒットヒットマーチ】。


今回は、「J-POPスタンダード集」として、今年大ヒットした「恋ダンス」でおなじみの「恋」をはじめ歴代の春の選抜甲子園の入場行進曲が沢山収録されています!もちろん、映画「君の名は。」のテーマ「前前前世」や、とと姉ちゃんの主題歌「花束を君に」も収録!
そしてボーナス・トラックには、今でも運動会で使用されることが多く、リクエストの多い「ビューティフル・サンデー」を収録!親子三代で楽しんでいただけます!!
運動会が盛り上がること間違いなしのCDです!
詳しくは【こちら】
オリジナルの運動会CD1〜3も、楽しく踊れる曲ばかり!なんと今回からは、手に入りにくかった城野賢一先生の作品も入り、さらにパワーアップ!!振り付け動画がある曲もあるので、是非チェックしてみてください!どうしてもわからない曲がある場合は、是非講習会(日程は後日UP)に出てみてくださいね!みなさん初めての方も和気あいあい、楽しいですよ〜。

バン・バン・ブー体操 「カミナリ体操」に続く、たのしい体操第2弾! 毎日できる、楽しい体操です。

鳴子ドラゴン!個人的にイチオシの曲です!戦隊アニメ風のカッコイイ曲にのって、鳴子を鳴らし、龍が登場!

ポンポン・パラダイス!ポンポンピピポン〜!かわいくたのしい曲にのって、元気にダンシング♪

★詳細はこちらの【じゃぽキッズ運動会】のページからご確認くださいね♪


(まりちょ)

『日本音楽のなぜ?』

当財団発行のCDの解説や、紀尾井小ホールなどの邦楽演奏会のナビゲーターとしてもおなじみの竹内道敬先生が、『日本音楽のなぜ?』という本を出されました。

(左右社 定価:1850円+税 B6判/並製/200ページ)
日本音楽のなぜ? 歌舞伎・能楽・雅楽が楽しくなる | 左右社
放送大学での講義をもとに執筆されたもので、以前、教材としてまとめられた『日本音楽の基礎概念』という著書の新装改訂版です。教室で先生のお話をきいているような文体でわかりやすく、気楽に読めました。
気になる「なぜ?」の内容ですが、目次には次の15の疑問が並んでいます。

1.日本には日本音楽があるのか
2. なぜメロディーがないのか
3. なぜノリが悪いのか
4. なぜ何を言っているのかわからないのか
5. なぜ指揮者がいないのか
6. どのように伝承されてきたのか
7.どのように作曲されるのか
8.なぜ流儀・流派があるのか
9.なぜ立って演奏してはいけないのか
10.なぜ語尾を震わせるのか
11.なぜ金属製の楽器がないのか
12.なぜ調律・調弦をしながら演奏するのか
13.なぜ聴く機会がないのか
14.伝統芸能・伝統音楽とは何か
15.日本音楽の特色と将来

この15の疑問に答えるという構成になっていますが、それぞれに必ずしも明確な答えがあるわけではありません。しかし、そこは自由自在に日本音楽の世界を語る先生のことですから、歴史のお話もあれば、昭和の名人たちのエピソードもありで、話題は広がっていき、それがまた面白いのです。印象に残った部分を少し引用してみます。

日本音楽は長い歴史があります。そしてそれはたがいに影響し合い、複雑な形をしています。一言では説明できません。別のところで申し上げるように、その根本には自然の神に対する恐れと尊敬がありました。そして言葉を大切にする伝統がありました。それらはさまざまに形を変えて、現在に至っているのですが、いまでも外部から影響をうけて、少しずつ変化しています。・・・

ここから先は、ぜひ本を手にとって読んでみてください。
副題に「歌舞伎・能楽雅楽が楽しくなる」とあるように、雅楽能楽から説き起こしていますが、やはりご専門の三味線音楽について多くの紙面が割かれています。歌舞伎に関心がある方には、とりわけ興味深い内容かと思います。
そして、「おわりに」で次のように締めくくられています。日本音楽の将来のために、感想を伝えることならば、ささやかながら私にもできるかもしれないなぁと思いながら本を閉じました。

ぜひともナマの演奏を聴いていただきたいのです。そして感動した、良かったという褒めの言葉を演奏家に伝えていただきたいのです。たまたま会うことがあって褒めるのもいいのですが、それこそハガキ一枚でいいのですから、演奏を聴いた後すぐに、褒めていただきたい。実は演奏家にはそういう反響が伝わっていないのです。ナマの反響ほど本人を励ますことはありません。 (中略)
そうして優れた演奏家を育てるのがあなたの仕事なのです。そうすればこの素晴らしい日本の音楽も勢いを盛り返して、次の世代に伝わっていくことでしょう。どうぞ積極的にナマの演奏を聴いて(良かったら)褒めてあげてください。お願いします。

(Y)

第47回邦楽演奏会のお知らせ

立春を迎えたとはいえ寒さのきびしい日が続いていますが、東京では梅が咲き初めました。邦楽の演奏会もこの時期は少なめですが、邦楽の各ジャンルが一堂にそろう「邦楽演奏会」が、今年は2月25日(土)に国立劇場小劇場で開かれます。

主催は邦楽実演家団体連絡会議で、人間国宝から若手まで各ジャンルを代表するメンバーが出演します。
今年で47回を数える歴史ある演奏会ですが、今回のテーマは「江戸・東京にちなんだ曲を中心に・・・」。なじみのある地名が出てくれば、その曲がいっそう身近に感じられることでしょう。
今年は新しい企画も用意されています。第一部の前半に、子供も楽しめる演目が選ばれていることです。この部分だけ特別料金で鑑賞することもできますので(小・中・高校生の子供と付添保護者のみ対象)、お問い合わせください。
また、これまでの「邦楽演奏会」は義太夫、清元、古曲、三曲、新内、常磐津、長唄が中心でしたが、今年はさらに琵琶と小唄が加わりました。昨年新たに琵琶の人間国宝に認定された奥村旭翠さんの演奏もあります。
ナビゲーターをつとめるのは、古典芸能に造詣がふかい元NHKアナウンサーの葛西聖司さん。各曲の聞きどころなど、わかりやすく説明くださることと思います。
第一部が12時開演(11時開場)、第二部が16時開演(15時30分開場)ですが、それぞれの開演前と休憩時に、ロビーで三味線、箏(こと)、尺八、琵琶、鳴り物などの体験もできます。毎年、希望者でいっぱいになるコーナーです。春も近い一日、ぜひ国立劇場でお楽しみください。

第47回 邦楽演奏会
2017年2月25日(土)
第一部 12時開演(11時開場)
第二部 16時開演(15時30分開場)
会場  国立劇場小劇場
入場料  一般3,000円 学生1,500円
【お問い合わせ先】
日本三曲協会事務局 Tel.03-3585-9916(電話予約のみ/平日10:00〜17:00)
【チケット販売】
e+(イープラス) http://eplus.jp/(パソコン&携帯)
国立劇場チケットセンター(窓口のみ)

演目と出演者はこちらをご覧ください。(クリックすると拡大します)

(Y)

《萱野茂没後10年記念企画 アイヌ語を贈るプロジェクト》開始!

イランカラテ。
アイヌ語で「こんにちは」「はじめまして」。『萱野茂アイヌ語辞典』にはこんな風に書いてあります。イ=それ(あなた)の、ラ=心、カラ=触れる、テ=させる → 〈あなたの心にそっと触れさせていただきます〉という意味。


萱野茂氏(かやの しげる 1926-2006)


このたび財団では、萱野茂氏の没後10年という節目にあたる2016年から企画した、貴重なアイヌ語の資料を寄贈するプロジェクトを実施しています。詳しくはコチラ⇒【萱野茂のアイヌ神話集成】萱野茂没後10年記念企画 アイヌ語を贈るプロジェクト – 日本伝統文化振興財団


寄贈する作品内容(CD11枚、書籍10冊、VHS1巻)


昭和30年代テープレコーダーはまだ珍しく、録音テープが大変に高価だった時代に、「アイヌの古老たちの語りや言葉を、今録音しなければアイヌ語は失われてしまう」という強い使命感を持って記録に臨んだのが萱野氏でした。自らが録音し、選び、執筆したアイヌの壮大な物語を、体系的にまとめたものが『萱野茂アイヌ神話集成』です。
アイヌ文化に触れ、アイヌの物語を知る上でも、また言語学的資料としても大変に貴重かつ充実した内容を備えた資料です。ちなみに、第52回 毎日出版文化賞(1998年)、第14回文化庁芸術作品賞(1999年)を受賞した作品です。CDと書籍は完全に対応していますので、CDを聴きながら、アイヌ語のローマ字表記、日本語の訳を読むことができます。

萱野氏がアイヌ民族初の国会議員として尽力したのは、1997年「アイヌ文化振興法」の成立でした。このことで、アイヌ文化の保存に光が差し込みました。さらに「二風谷ダム裁判」では、アイヌ民族が「先住民」であるという札幌地裁の判断を勝ち取り、萱野氏が亡くなってからも2007年の国連における「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択、2008年の「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」が国会の全会一致で議決、以後様々な取り組みが急速に現実味を帯びてきました。オリンピック・パラリンピックを迎える2020年には、北海道白老に「国立アイヌ民族博物館」が開館する予定です。


(二風谷にて)

私たちは、萱野茂氏をはじめとするアイヌ民族の誇りと文化の保存と発展に尽くした先人たちの努力に心からの敬意をはらうと共に、アイヌ文化がより広く深く理解され、世代を越えて継承されていくことを心から願って、自分たちにできる取り組みを今後も続けて行きたいと思います。


(二風谷にて)

(やちゃ坊)

「伝統を未来に・・・」2017


あけましておめでとうございます
日本伝統文化振興財団は、平成5年の発足以来、日本の伝統文化の振興と発展に向けた公益事業に取り組んでおります。
本年も伝統芸能の記録・保存・公刊をはじめ、公演事業、国際交流、教育支援など、幅広い視点で伝統文化を支える活動を進めてまいります。
皆さまには変わらぬご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
     平成29年 元旦
            公益財団法人日本伝統文化振興財団
財団ホームページ → 公益財団法人 日本伝統文化振興財団
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