毎年11月下旬の土曜日に、神宮球場の隣にあるレンガ造りの建物、日本青年館で開催されている「全国民俗芸能大会」が、今年で60回目を迎えます。日本全国各地のさまざまな芸能を数組ずつ招いて紹介するこのイベントは、往復ハガキで申し込めば、誰でも入場無料。もちろん本物の民俗芸能はその土地でしか体験できないものですが、こうしたかたちでまず実演と接することを通じて、その土地を実際に訪れてみるキッカケにされてみてはいかがでしょうか。
たとえば、作曲家の柴田南雄さんは、昭和42年度の日本青年館での「全国民俗芸能大会」で隠岐国分寺の「蓮華会舞い」と出会い(この時の音源は、コロムビアからLPで発売されています。ALS-5071、未CD化)、その後、何度も4月の隠岐への旅を重ねて現地で「蓮華会舞い」をご覧になっています。
著書『楽のない話』(全音楽譜出版社)のなかで、柴田さんは次のように記しています。
最初に現地においてでなく、青年館のステージで接したことに何か自分がいかにも素人だという、ほのかな劣等感を感じていた(むろん、だからこそ、いつかは隠岐を訪れようとその場で決心したのだが)。しかし、去年のちょうど今頃であったか、日本芸能史の大家であられる本田安次氏が連載インタヴュー(毎日新聞の「この人と」松岡英夫氏との対談)の中で、氏がこの研究に入られたキッカケが昭和3年に日本青年館で八重山の踊りを見て感激されたことにあったと述懐されているのを読むに及んで、いささか安堵を覚えた次第であった。
「全国民俗芸能大会」は午後1時から5時までの本公演の他に、昼の部の出演者の内の一組の芸能に焦点を当てた「研究公演」(午後6時から夜8時まで)があります。今年度の研究公演は、岐阜県郡上市白鳥町長滝の「長滝の延年」です。
13:00〜18:00
<記念式典・休憩><研究公演> 18:00〜20:00観覧希望の方は、往復ハガキにて郵便番号・住所・氏名・人数(1通につき2名まで)を記入の上、下記までお申し込みください。
〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘7−1 財団法人日本青年館「全国民俗芸能大会」宛
詳しくは以下のサイトをご覧ください。全国民俗芸能保存振興市町村連盟 ◆
本田安次氏の監修によって、1973年から76年にかけてビクターが制作した「日本の民俗音楽」シリーズ(企画:日本民俗芸能協会、協力:文化庁、資料提供:日本放送協会)は、LP3枚組×全13巻(内、補遺1巻)という壮大な規模を誇る、日本の民俗芸能の歴史的な音の記録でしたが、当財団ではこれをCD36枚組のかたちで復刻しています(分売予定はございません)。補遺篇のアイヌと北方民族の芸能は、別途3枚組CDで復刻しております。
当財団の民俗芸能関連のCD、DVDは、こちらをご覧ください。◆
(堀内)