じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東洋音楽学会

昨日の記事でも紹介しましたが、11月13日と14日、東京学芸大学の小金井キャンパスで、東洋音楽学会第61回大会が開かれました。大会のテーマは「東洋・アジア音楽のすがたこころはたらき」。13日の公開講演会と公演、田邉尚雄賞授賞式に行ってきました。
東洋音楽学会は、比較音楽学民族音楽学の前身)の研究者と日本音楽研究者が中心になって、日本を含む東洋諸国の音楽を研究することを目的に、昭和11年(1936年)に設立されました。
現在、会員は約700名、日本の伝統音楽をはじめ、ひろく世界中の民族の音楽を対象として、さまざまな視点から音楽を研究しています。当財団は、賛助会員になっています。
この学会は、演奏者がたくさん会員になっているのも特色です。演奏者と研究者の相互交流が音楽の研究には欠かせないという考え方からです。研究者は演奏者から多くのことを学び、演奏者は研究者から新しい情報を得ています。
公開講演会は「日中仏教音楽の諸相」ということで、東京文化財研究所名誉研究員の佐藤道子氏が「わが国における仏教摂取の一断面」、北京中央音楽学院の袁静芳氏が「歴史ある北京智化寺京音楽」について講演しました。
つづいて「日蓮宗聲明と法要式」の公演がありました。



鎌倉の妙本寺貫首、早水日秀師のていねいな解説付きで、勤行(ごんぎょう)、切散華(きりさんげ)などが実演されました。太鼓、鐃・鈸など、日蓮宗の法要に用いられる各種の鳴らし物(梵音具)の響きが印象的でした。
そのあと、田邉尚雄賞授賞式となりました。受賞者について、詳しくはブログのこちらの記事をごらんください。
受賞者のヒュー・デ・フェランテ氏は勤務先のオーストラリアの大学の都合で出席できないため、代理で当財団の藤本理事長が賞状を受け取りました。
受賞対象の書籍 "The Last Biwa Singer : A Blind Musician in History, Imagination and Performance" と対をなすCD『肥後の琵琶弾き 山鹿良之の世界〜語りと神事〜』を当財団で制作したご縁からです。
ヒュー・デ・フェランテ氏から寄せられた受賞の言葉によると、たいへん困難な研究を信念をもって続けられ、その情熱に多くの人が手をさしのべてきたことがよくわかりました。
受賞作を読んでみたくなりましたが英文なので、ヒューさん、日本語でも出していただけないでしょうか?

受賞の言葉を代読する藤本理事長。左はもう一人の受賞者、塚原康子

(Y)