じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

革命のオペラに詩を聴いた

先週の金曜日、12日、新国立劇場でウンベルト・ジョルダーノ(イタリア1867-1948)のオペラ「アンドレア・シェニエ」初日を観てきました。これ、初めてオペラを見るかたにもオススメです。日程を先に書いておきますと、今日が二日目、以降は18、21,24日と上演されます。http://www.atre.jp/10andrea/index.html
作品の特徴やあらすじは上記URLなど各所に情報があるのでそちらをご参照いただきたいのですが、フランス革命を舞台に詩人アンドレア・シェニエの恋と死を描いたイタリアのヴェリズモ・オペラ。このタイプで有名な「カヴァレリア・ルスティカーナ」より上演時間は長く、といっても30分の休憩を間に入れて二時間半で終了ですのでちょうど良いかと思われますし、とにかくわかりやすいオペラです。作曲家の知名度ではヴェルディプッチーニよりだいぶ劣りますが、かなりの確率で満足感を得られるかと!
あまり上演の機会も無いため私も初めて観たのですが、スタートから引き込まれました。デル・モナコホセ・カレーラスの盤で何十回と聴いていた音楽が生で聴くとさらに素晴らしく、すべての楽器が活き活きと響いて全体として連携し、巨大な生き物のように目の前に現れてきました。各幕の見せ場のアリアでも主役級三人の歌手が充分に魅せました。アガフォノフ(テノール)は若干音程がフラットするところがありつつも、他の二人には、細かい好みを言わないなら、文句が付けられないといったふうで。

そしてプッチーニの代表作にも関わっている、ルイージ・イリッカの台本・・・これは美しい<詩>でした!! 舞台の両脇、電光掲示板に日本語訳がタイムリーに掲載されるのですが、イタリア語がわかればよりダイレクトに感動できたのかもしれません。

ギロチンをモチーフにしたという舞台美術(壁などがまっすぐでなく斜めに立っていた)も空間を異化する効果抜群でした。演出・美術・照明はフィリップ・アルロー、そして指揮はフレデリック・シャスラン、ともにパリ生まれ。

(J)