じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

クラムボンの会 林洋子さん

2010年2月14日の「やまなし」「よだかの星」(作:宮沢賢治/語り:林洋子)で幕を開けた連続7回の「クラムボンの会30周年記念大公演」。その最終公演が2010年11月23日(火・祝)、100名以上のお客様をお迎えし、東京・求道会館にて開催されました。

30周年記念公演の最後を飾ったのは「弦楽四重奏による朗読 ギタンジャリ―歌のささげもの」でした。この作品は、クラムボンの会の20周年記念として2000年に初演され、そして2002年にはタゴールの国・インドでも国際交流基金の派遣公演として上演されました。その8年ぶりの再演が11月23日だったのです。

宮沢賢治さんの物語を語る活動をする林洋子さんの心の中で、長い間通奏低音のように響き続けていたというタゴールの「ギタンジャリ」 。林さんが初めて「ギタンジャリ」を読んだ時の魂が揺さぶられる感覚から、宮沢賢治タゴールの願いは等しい!という実感に震えたとおっしゃいます。

林洋子さんが「ギタンジャリ」原詩集103篇から21篇を選び構成したものに合わせ、弦楽四重奏曲の作曲をされたのは、林洋子さんが最も尊敬し信頼する作曲家・廣瀬量平さんでした。10年前、出来立てほやほやの楽譜を持って廣瀬量平さんが練習所に現れ、カルテットが演奏を始めると、その悠々として流れる魂の歌の響きに、林洋子さんは不思議な涙がこみ上げてきたそうです。残念なことに、廣瀬量平さんはこの再演を待たずに2年前にお亡くなりになりましたが、林洋子さんは「きっとどこかで聴いていてくださると信じています。」とおっしゃっていました。


その音の流れに身をまかせながら朗読する林洋子さんはとても美しく、聴いている私たちも引き込まれました。今年80歳になられた林洋子さん、これからもどうぞお元気でご活躍されることを心から願っています。

(K)