じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「Japan」というジャズの曲

ジャズ界の大御所、ファラオ・サンダースPharoah Sanders)が10月24、25日に東京billboard liveに出演するそうですね
かつてジョン・コルトレーンのグループに参加し、1966年にはコルトレーンとともに来日していることでも有名なファラオ・サンダースコルトレーンと自由で力強いブロウを繰り出す「Coltrane live at the village vanguard again!」(1966年5月録音)が好きで、今でもごくたまにではありますが、思い出したように聴くことがあります。ファラオ・サンダースのオフィシャルHP(トップページから音が出ますのでご注意を)→
そんなファラオ・サンダースのソロ・アルバム「Tauhid/神話(ターウィッド)」(1966年11月録音)では、なんと「ジャパン(Japan)」というタイトルの小品が収録されていて、自由なインプロヴィゼーションの大曲二つにはさまれながらも、急にのどかな雰囲気に変わって驚いたことがあります。テナーやアルトのサックスではなく、ピアノなどをバックに民謡あるいは唱歌風のメロディを唸るように歌っていて、一部のパーカッションでは鈴を思い出させる音。
以下「神話(ターウィッド)」のライナーノーツのなかから、「ジャパン(JAPAN)」についての部分だけを抜粋します。

「Japan」 is the retrospective result of a trip there which Sanders made with John Coltrane in the summer of 1966. "These are impressions of places and people," Sanders explains. "I was particularly impressed by the spiritual qualities of a lot of the people I met there―the respect they have for one another and for you. What I mean is that if you come from another culture, they accept you for what you are. They don't put down strangeness, but instead are open to what you have to offer them." The piece is a further illustration of Sanders' dimensions of lyricism―gentle, impressionistic. The vocalise is by him, and in it, he says, "I was trying to sound like a whole mass of singers so that I could convey a wide range of Japanese sounds."
(Quotation from Pharoah Sanders「TAUHID」Liner notes by Nat Hentoff)

ここでのファラオさんのお話を自分なりにつたなくもまとめますと―― "日本についてとくに感心したのは、お互いや相手への敬意があること。彼らは未知のものを見くださず、すすめるものに対してオープンなんだ" といった感じでしょうか。さまざまな文化を受け入れ、独自に発展させてきた日本のことをうまく言い当てているように感じていますが、いかがでしょうか?
ファラオさんの24、25日のコンサートには行けそうにないですが、今日関東はあいにくの雨模様。上にご紹介した二つのレコードなどを聴きながら、静かに過ごすとします。

(じゃぽ音っと編集部T)