じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

夏休みに「親子で楽しむ日本の音」

国立劇場の邦楽公演「親子で楽しむ日本の音」に行って来ました(2013年7月20日(土)国立小劇場)。

夏休みに入ったばかりのこの日は大劇場でも「親子のための歌舞伎教室」があり、地下鉄半蔵門駅から国立劇場に向かう親子連れにたくさん出会いました。なかなか見られない風景です。

ロビーでは開演の30分前から和楽器体験コーナーが設けられ、着物姿の女性の演奏家たちがお箏、小鼓、太鼓を指導していました。どれも人気で列ができていて、和の楽器にチャレンジするわが子のシャッターチャンスをねらうお母さんたちの熱心な姿が目立ちました。

ブログラムは「十七絃と小鼓のための二重奏曲」(杵屋正邦作曲)で幕開き。ナビゲーターを努める邦楽囃子の望月晴美さんと、生田流箏曲の高畠一郎さんの演奏です。二人ともそれぞれリサイタルで芸術祭の賞をとった実力派ですが、子供たちに話しかける親しみやすさ、わかりやすさ、明るさで、ナビゲーターぶりもすばらしく、内容のぎゅっと詰まった楽しい一時間でした。
前半は一郎さん(と、望月さんに呼ばれていました!)が担当する箏、十七弦、三弦(三味線)の説明と演奏。
前半の最後の曲「銀河」(沢井忠夫作曲)では、劇場全体がプラネタリウムのような照明に包まれました。箏と三弦の響きが宇宙の広がりを奏でているのを、子供たちは耳を澄まして聞きいっているようでした。邦楽器を初めて聞く子供たちには、こういう雰囲気づくりも大事なのかもしれません。
後半は望月晴美さんが担当する囃子の楽器の紹介。鼓や太鼓の胴と皮をバラバラにしたところを見せてくれましたが、おもしろかったのは皮を締める麻のひも=「調べ」の新品です。大鼓の調べは予想以上に長いものでしたが、それを自分で撚って強く引っ張ってはじめて楽器に使えるのだそうです。演奏者以外はめったに見られないところを、実演つきで教えてくれました。
公演の構成については、時間をかけて練り上げたということですが、ナビゲーターの二人それぞれが自分の楽器を大切に思い、知ってほしいという気持ちがよく表れていました。そして最後、長唄箏曲の競演「スペシャル版 越後獅子」もみごとで、親子でなく大人だけでも楽しませてくれる公演でした。

当日のプログラムは上のとおり(クリックすると大きくなります)。合間に「ポニョ」や「マルマルモリモリ」のメロディーもちょこっと登場し、子供たちを喜ばせていました。夏休みの初日、どんな感想をもったのかきいてみたいなと思いました。

(Y)