じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

国立劇場おきなわ十周年記念特別公演

[演奏会]

2004年1月18日にオープンした《国立劇場おきなわ》は、大小二つの劇場を持つ東京の国立劇場能楽堂、オペラ・バレエ・演劇の新国立劇場、そして大阪の文楽劇場に続く全国で5番目に開設した大劇場632席、小劇場255席の国立劇場です。沖縄の伝統芸能の中でも特に「組踊(くみおどり)」の後継者養成に設立当初から取組み、その保存と振興の大きな成果のひとつには2010年ユネスコ無形文化遺産への登録があります。劇場は浦添市勢理客(うらそえし じっちゃく)にあります。

さて、一昨日の1月25日(土)と26日(日)両日に十周年記念特別公演として開催された「今日ぬ誇らしゃ(きょうぬふくらしゃ)」を観て参りました。


この物語の舞台は、冊封使(中国王朝の皇帝が従属している国に派遣する使節)一行を歓待しようと、国中がその準備に追われている1700年代初頭の琉球王国です。
踊奉行(おどりぶぎょう)に任命された玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん)は、愛弟子の平敷屋朝敏(へしきや ちょうびん)らとともに、大和芸能や中国芸能から影響を受けつつ、両国の狭間の中で琉球独自の芸能を創りだそうと励みます。その新たな芸能こそが「組踊」です。
やがてその日が訪れ、宮廷舞踊の総称である御冠船踊(うかんしんおどり)の幕が開きます。

演劇、舞踊、音楽各界を代表する演者によるこの公演は、国立劇場おきなわが果たす役割の大きさ、重さをはっきりと知る機会となりました。

劇場の芸術監督の嘉数道彦さんは34歳、主演者の多くも30代前後の皆さんで、前記の通りこの劇場が単なる会場ではなく、地域に根差した芸能の拠点として新らしい文化の発信地になっていることも実感しました。

さらにまた、人間国宝の照喜名朝一師、かつてCDアルバムを録音させて頂いた城間徳太郎師、そして西江喜春の3氏が音楽と演奏を務められ、そのほれぼれとする演奏に感じ入りました。

(理事長 藤本)