じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

新・名取寄席Part1@文化会館

3月1日(土)、宮城県名取市文化会館小ホールにて開催された公演「新・名取寄席Part1@文化会館 その壱 講談×津軽三味線」 〜聴く、観る、味わう、語り芸の魅力と三味線の迫力!〜をご紹介します。

この春、名取市文化会館発・新しいスタイルの寄席がスタートします。落語、講談、浪曲と音楽、ダンス、さまざまなパフォーマンス・・・異ジャンルのフレッシュなアーティスト同志が作り出す、とびっきり楽しい時間と空間。第1回目となるのは、落語と並んで寄席芸を代表する「講談」と「津軽三味線」をお届けします。真打昇進が決まった講談界のホープ宝井駿之介さんの鮮やかな口跡!津軽三味線の実力者・松田隆行さんによる確かなバチさばきと胸に響く音色!明日へのエネルギー、そして未来への希望に繋がる日本の伝統の底力を体感してください。(公演チラシより抜粋)

この日の出演者である講談師・宝井駿之介さんと松田隆行さんのご紹介。

宝井駿之介さんは、名古屋市生まれ、静岡育ち。駿之介の駿は駿河の駿と駿馬に由来。天性のセンスと豊富な知識に裏打ちされた明快かつ鮮やかな口跡で、多くの期待を集めています。現在、古典の研鑚とジャンルを超えたテーマに挑む創作にまい進中とのこと。平成27年春に真打昇進が決まっています。宝井駿之介さんは優しい雰囲気があふれだしている印象の方、加えて声がとても可愛らしいのです。男性に向かって可愛らしいというのも何ですが、話芸の魅力である声色の違いを大いに楽しむことが出来る、魅力いっぱいの講談師です。


そして、松田隆行さん。青森県出身です。2歳で両親と共に津軽民謡の巡業に同行し初舞台。13歳で三味線を始め、福士豊勝氏に師事。民謡を牛追唄の祖、畠山孝一氏に師事。津軽三味線の演奏だけでなく、厚みのある唄、訛りあふれるトークで伝統音楽の魅力を発信しています。唄での活動として、今年3月5日に弊財団から「南部餅搗き唄/虎丈様」をリリースし、多くの方々からご好評をいただいています。この公演では津軽三味線奏者としての出演でしたが、民謡歌手としてNHKテレビやラジオにご出演されるなど活躍中です。


この異ジャンルの2人が作り出す“日本の和”の世界。それぞれが得意とする演目で楽しませていただいたのはもちろん、2人で三味線の歴史についてもお話し下さいました。三味線が日本に伝わり、いろんな種類の三味線が生まれ、その形や音色の違い、興味深いお話を聞かせて下さいました。

しかもその歴史を解りやすい講談にして私達にご披露いただき、講談と三味線両方がとても身近なものに感じることが出来ました。

日常あまり聞くことのない講談や津軽三味線。このような形で公演が開かれ、子供から大人までが一緒に楽しむ機会がこの名取市文化会館から発信されたということは、とても大きなきっかけを作ってくれたと思いました。講談ファンが津軽三味線を、津軽三味線・民謡ファンが講談を、知らなかった日本の伝統芸能に触れることが出来る、異ジャンルによる共演のなせる業ですね。
新・名取寄席、今後の公演が楽しみです。これからも注目していきたいです。

(K)