じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

太山寺の追儺式

兵庫県神戸市の太山寺(たいさんじ)は、かつては41の小寺院に囲まれた壮大な寺院であったそうです。その本堂(鎌倉時代に建てられた大規模な仏堂)は神戸市内で唯一の国宝に指定されています。1285年に火災で焼失後1300年頃に再建されたものとのこと。ほぼ正方形の平面である内部空間は、仏像を安置する「内陣」を側背面の「脇陣」「後陣」が取り囲んでいて、入り口側には礼拝空間である「外陣」があります。これは密教寺院の本堂形式とのことで、こういった構造や、次に書く式では鬼が火の点いた松明を振り回すあたり、奈良・東大寺二月堂の修二会(しゅにえ。密教の要素を取り入れた部分もある)を思い出しました。
本堂、正面から。

この本堂内で毎年一月七日の午後に追儺式(ついなしき)がおこなわれています。一月一日から七日まで修正会を行い、結願として、面を付けないかわいい子鬼、面を付ける走り鬼と三匹の太郎鬼・次郎鬼・婆々鬼が松明を持ち、大太鼓の音に合わせて踊り(法螺貝も鳴っていました)、「天下泰平国家安康家運長久」そして「悪魔降伏」を祈り悪霊退治をするといったもので、 安土・桃山時代から伝わる伝統行事です。

「鬼になる人の定め方」としては三ヶ条があり、それで決まった「鬼に出る人」は式の前二十四時間は精進を保ち、式当日早朝には寺で丁字湯に入ることが義務づけられています。以下に今年2015年の様子を写真にて紹介いたします。
子鬼が二人一組になり、持っている棒を相手と合わせます。外陣の床には水が撒かれていて濡れているのがわかります。

三兄弟であるという善鬼の太郎鬼・次郎鬼・婆々(ババ)鬼が出てきたところ。松明の火の強さは終始このくらいでした。

式終了後には内陣から、外陣にいる来場者に向かって餅が撒かれました。

本堂から外へ出たところ。午後三時半くらいです。


資料提供:瓦谷博(かわらたにひろし)氏および境内掲示板、太山寺HP
三身山「太山寺」
★地域の魅力紹介★太山寺 - 神戸運輸監理部


以下は東大寺二月堂の修二会(お水取り)に関するブログです。
「お水取り」【東大寺・修二会(しゅにえ)】を100倍楽しむ方法!! - じゃぽブログ
お水取りの写真(2013年3月12日) - じゃぽブログ

(J)