じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

最近読んでいる「北の無人駅から」

最近読んでいる本「北の無人駅から」(渡辺一史著/北海道新聞社発行)をご紹介させてください。
もともと鉄道が好きということもあり、まずそのタイトルに惹かれました。ただし実際に読み始めてみると800ページ近くに及ぶ大作(このところ暇を見つけては読んでいて、あと少しで終わるのですが…)。著者が北海道で取材活動を始めて20年という月日の集大成ともいえる、素晴らしいノンフィクション作品だなと感じ入っているところです。
「北の無人駅から始まる7つのストーリー」(帯の文言より)からなる作品で、冒頭の第一章からひきこまれます。トンネルとトンネルにはさまれた謎の駅―室蘭本線小幌駅(北海道豊浦町)のお話。ここに出てくる岩屋観音の円空仏(以前円空展に行ってきた際の投稿もよろしければ)の話をはじめ、自分のような外部の人間がその大自然や豊かな食べ物を簡単にイメージしがちな北海道には、上の写真の表紙帯にある“北の無人駅が「迷宮」への入口だった”とあるように、現状に横たわっている問題やあまり知る機会のなかった歴史といった驚きと発見があります。まだ読み終わってもいないのにたいへん恐縮なのですが、この本の「おわりに」から一部引用させてください。丁寧な取材をされる方だという印象通りのお話がありました。

――最後に白状してしまえば、私は無人駅にも鉄道にも、じつは大して興味はなかったのだ。興味があるのは人だった。
無人駅をテーマにしながらも、私は人を求めて旅をしていた。

お目にされる機会がありましたら、ぜひご一読を!

(じゃぽ音っと編集部T)