じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

素人が義太夫を語るのは

本日は国立演芸場にて、四代目竹本綾之助叙勲記念 女流義太夫演奏会を拝見いたしました。最初に「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」休憩後に女流義太夫研究家の水野悠子先生による初代から現在の四代に至る綾之助についてのお話、また休憩後に四代目竹本綾之助(浄瑠璃)鶴澤津賀花(三味線)のお二人で、上演されることが珍しい「烏帽子折苧源氏(えぼしおりみばえげんじ)伏見の里の段」というプログラムでした。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/tradition/CK2012062402000155.html

以前に紹介いたしました「スクリーンで見る高座 シネマ落語 落語研究会 昭和の名人 四」が松竹系の全国の映画館で今度の土曜日6/30に公開となります→シネマ落語「落語研究会 昭和の名人 四」上映スタート | 歌舞伎美人(かぶきびと) 演目には、三遊亭圓生師匠の「猫忠」もあります。ご参考→猿之助襲名披露そして『猫忠』 - じゃぽブログ

5/28のブログの中でも、噺のネタに文楽と関わりのある落語をいくつか紹介致しました→『あやつられ文楽鑑賞』三浦しをん - じゃぽブログ

同著の中で以下のように三浦氏も書いていますが(P.135)、

これらの落語を聞くと、明治期ぐらいまでの(特に上方の)人々の生活に、文楽がいかに影響を及ぼしていたかがわかる。とにかくみんな文楽が大好きで、話の筋をよく知っていたのはもちろんのこと、会話の端々に文楽ネタが上り、そのうえ、義太夫のお稽古に通っていたほどらしいのだ。

(中略)

『軒づけ』を聞くと、文楽がどれほど人々を熱狂させるものかがわかる。登場人物の素人大夫の面々は、本職のひとから稽古をつけてもらい、隙を見ては自分でも義太夫を語りたがるのだ。
稽古をするからには、発表会もある。もちろん、ろくに語れたもんじゃないから、聞かされるほうにとってはいい迷惑だ。「ミソが腐る」と称されるほど、ひどい語り口。それでも、みなさんはめげない。今度は徒党を組んで、家々の軒先で腕だめし(というか、喉だめし)。ところが、ついてきた素人三味線が、これまたひどいのだ。自分では調弦もままならず、立ったまま三味線を弾くこともできない。弾けるパターンも三つだけ。

そして、「特に『寝床』を聞くと、どれだけ人々のあいだで文楽熱が高まりを見せていたか、ということと同時に、素人義太夫がどれだけ迷惑きわまりないものであるか、ということもわかる」とのこと。

当時はあちらこちらの家庭でお父さんが義太夫を真似ていたのですね。しかも本人は上手いつもりで陶酔して人に聞かせたがる…。三浦氏の言葉を借りれば「まさにジャイアンリサイタル」(笑)

話は変わりますが、国指定重要無形民族文化財淡路人形浄瑠璃が公演される淡路人形座が今年の8/8、福良港に新会館をグランドオープンするそうなので、ぜひ行きたいと思っています。(同館の引っ越し移転のために6/18〜8/7は臨時休館となっていますのでご注意下さい)
淡路人形座 | 公益財団法人淡路人形協会
淡路島おすすめスポット - じゃぽブログ

(J)