じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

三省堂のハンドブック

東京地方では、夜、強い雨が降り、急に寒くなってきましたね。また苦手な寒い冬がやってきてしまいました。…ということで、読書の秋というのは、そろそろ終わりでしょうか。そのタイミングで敢えて本をご紹介!
弊財団ではCD制作などをおこなっており、本は扱っておりませんが、やはりブログ執筆時などは、本を探してしまいます。本日は、三省堂さんから出版されているハンドブックシリーズをご紹介します。
能楽ハンドブック」…能のすべてがわかる小辞典。


このような感じで、写真入りの解説です。右のページは「安宅」の解説です。先日ブログでもご紹介しましたが、能の「安宅」をもとにした歌舞伎の演目が「勧進帳」です。織田信長、そして豊臣秀吉も能の愛好者だったそうで、歌舞伎でも、箏曲でも能の演目に由来しているものがたくさんあります。能の現行曲は約240曲あるそうで、大半が室町時代末期までに作られたものとのことです。能を知ると、新たな発見がたくさんありそうです。
そしてこちら。「狂言ハンドブック」…狂言のすべてがわかる小辞典。
狂言で主役を演じる人は、能と同様に「シテ」といい、シテの相手役を勤める脇役を「アド」と呼びます。能の場合は「ワキ」といって呼称が異なります。狂言の代表的な登場人物と言えば「太郎冠者(たろうかじゃ)」でしょうか。「冠者」とは使用人の事で、太郎冠者は筆頭の召使いという意味だそうです。登場人物は、上司と部下、僧侶や山伏などといった設定になっていて、具体的な名前を名乗ることはないそうです。
それぞれの人物には身近な印象があるそうで、例えば、酒好きで明るく、ずるがしこくユーモアあふれる「太郎冠者」、太郎冠者と一緒に調子に乗って浮かれたりする「主人」、実は無学なのに知識をひけらかしたり、物欲・金欲の亡者である「山伏」や「僧侶」、百歳にもなって恋に落ちる「老人」、お供えに酒を欲したりして、親しみやすさがある「神」、人間を困らせようと試みて、たいていは失敗してしまう「鬼」、しゃべる「動物」など、だそうです。なんだが楽しそうです。最後は、皆さんで大笑いしていますし…。狂言を見に行きたくなりますね!どよ〜んとしてしまった日のお仕事帰りにいかがでしょうか。

そして他には、


「歌舞伎」「文楽」「日本舞踊」「落語」と充実の内容です。
最近では歌舞伎などの観劇でも、その歴史的背景を楽しんでいらっしゃる方が、ご年配の男性を中心に増えているような気がします。ご観劇の前には、是非情報を仕入れてお出かけいただくと、次々に新しい発見があって面白そうです。

(制作担当:うなぎ)