じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

磯節全国大会決戦会&決勝戦

去る2月11日(火・祝)、茨城県立県民文化センター大ホールにおいて、第35回記念磯節全国大会決戦会が開催されました。2月7日のブログで、この予選会の模様をご紹介させていただきました。→★
今年は19歳から93歳までの387名の応募があり、2月1日(土)、2日(日)に行われた予選会を経て、上位50名が決戦会へ選出されました。

決戦会が行われる前に、式典として大会実行委員会からの開会の言葉、主催者からのご挨拶、審査委員長からのご挨拶がありました。そして、決戦会出場者全員が舞台上に勢ぞろいされました。あいにく体調を崩して欠席となった方が1名いらして、49名でこの厳しい戦いに挑む出場者。皆さん緊張の面持ちでの入場でした。

10時40分、いよいよ始まりました、決戦会。三味線の音色がホールに響き、太鼓、尺八、お囃子が加わり、唄を盛り上げます。さすが予選を突破した方々とあって、皆さんいいお声で練習の成果を存分に発揮されていたと思います。今回も歌詞の選択は自由。皆さん、好き好きに選んだ歌詞で挑む「磯節」。その唄声から歌詞にある風景が思い浮かぶような表現力を持つ出場者が多く、皆さんがこの唄を本当に大事にしていることが良くわかりました。

49名、全員が約1時間半をかけて唄い切りました。どの方が賞を取られてもおかしくないほどの出来栄えでした。この後、さらに10名が選ばれ、決勝戦へと進むことになるわけです。

10名の発表の前に、アトラクションのコーナーがありました。地元の方々、子どもたちによる唄や踊り、前年度優勝者である遠井未弥さんによる磯節披露、特別ゲストとして日本コロムビアの民謡歌手、石川喜代美さんによる「南部俵つみ唄」「本荘追分」の披露がありました。このアトラクションのコーナーでは、本当にほのぼのとした暖かい空気が流れていました。毎年開催されるこの大会で、唯一緊張が解ける時間なのではないでしょうか。

改めて緞帳が上がった時には、49人の出場者が勢ぞろいされていて、いよいよ決勝戦出場者の発表です。審査委員長である日本民謡協会の金子利夫常務理事から、10名の名前が呼ばれました。お名前が呼ばれるたびに、舞台から会場から「ヤッター!」という声と拍手が上がりました。名前を呼ばれなかった39名も、決勝戦にのぞむ10名へ大きな拍手を送っていました。

決勝に残った10名は、その場で歌唱順の抽選をし、この順番ですぐに決勝戦へと進みます。

勝戦ともあって、更にハイレベルな戦いでした。とはいえ、やはり生身の人間です。緊張して同じようには唄えなかった方、自分で納得出来る結果ではなかった方もいたと思います。でもこの10名からは、予選会、決戦会の時に感じたパワーの数倍の集中力を感じました。そして、唄と伴奏者と一体となって奏でられる磯節が、きらきら光って見え、聞こえたような気がしました。

結果は、下記の通りです。
優勝 斎藤千鶴子さん(64歳・東京都足立区)
準優勝 岩下芳月さん(72歳・水戸市
準優勝 伊藤芳枝さん(25歳・栃木県宇都宮市
準優勝 園部智恵さん(43歳・ひたちなか市

受賞された皆様、おめでとうございました。入賞の皆様もとてもいい唄で感動しました。この磯節全国大会がいつまでも地元の方々を中心にして守られて、唄い継がれることを願いながら、また来年を楽しみにしたいと思います。

(K)