じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

波多一索さんの文化庁長官表彰を祝う会

先月のことですが、「波多一索さんの文化庁長官表彰を祝う会」がありました(2015年1月27日 アルカディア市ヶ谷)。

波多一索さんは義太夫協会の会長として、義太夫節の振興に対する長年の功績により、文化庁長官表彰を受けられました。義太夫協会のほかにも東京都民踊連盟会長、日本小唄連盟副会長など数々の要職についています。また、当財団の初代理事長でもあります(発足当時の名称は財団法人ビクター伝統文化振興財団)。
波多さんはお箏の宮城道雄師の演奏にあこがれて、師が専属であったビクターに昭和31年(1956年)に入社しました。しかし宮城師がその6月に亡くなったため、奇しくも最初のお仕事が「宮城道雄追悼盤」レコードになってしまったそうです。
その後も箏曲のほか、清元、新内、小唄、雅楽能楽義太夫とたくさんの名人のレコード制作を手がけられ、その多くは現在も当財団でCDに形を変えて発売されています。また文化庁芸術祭大賞をとった「武満徹の音楽」をはじめ、クラシックのほうでも名盤を世に出しています。いろいろな意味で、今日の日本伝統文化振興財団の基礎を築かれた方といえます。
「祝う会」には、邦楽、舞踊、民謡をはじめ、さまざまなジャンルの実演家や評論家、レコード関係者がかけつけ、130人余りの盛大な会となりました。
当日配られた小冊子に、波多さんの「私の履歴」が記されていました。父の波多郁太郎氏、祖父の波多海蔵氏についても紹介されています。慶應大学国文科で教鞭をとった父上、さらには実業家であり歌舞伎や日本舞踊界を陰で支える存在でもあったお祖父さまと、まるでテレビ番組の「ファミリーヒストリー」のような内容で、波多さん自身も、父祖についてこの機会に初めて知ったことがあったそうです。
「受賞を祝う会」のお断りをいただいて、ここにご紹介します(クリックすると大きくなります)。





斯界の生き字引のような存在で、お話のなかに何気なく人間国宝の先生の若き日のエピソードが出てきたりする波多さんですが、演奏会などでお会いすると、気軽に小さく手を振ってくださいます。いつまでもお元気で、私たちを見守っていただきたいと願っています。

(Y)