じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「北京故宮博物院200選」と・・・

1月2日から東京国立博物館で開かれている特別展「北京故宮博物院200選」に、ようやく行ってきました。日中国交正常化40周年・東京国立博物館140周年記念ということで、北京故宮博物院が所蔵する選りすぐりの名宝200点が来ています。

北京故宮博物院は映画「ラストエンペラー」にも登場した紫禁城を博物館にしたもので、壮麗な宮殿建築と180万件を超えるコレクションを誇っているそうです。
神品と称される幻の名画「清明上河図(せいめいじょうかず)」の展示は終了してしまいましたが、展覧会の概要とみどころはこちらに出ています。
日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「北京故宮博物院200選」
展示は「第1部 故宮博物院の至宝ー皇帝たちの名品ー」と「第2部 清朝宮廷文化の精粋ー多文化のなかの共生ー」に分かれています。
まず第1部の、それも前半の宋・元の書画にいきなり目を奪われてじっくり見てしまいました。その結果、あとは駆け足になってしまいましたが、名品揃いの200点をどれも丁寧に見るにはいくら時間があっても足りないでしょうから、しかたありませんね。
千年も前に書かれた書跡が、墨痕鮮やかなまま残されていて、息づかいまで感じられるほど間近で見られるのはありがたいことです。なかでも黄庭堅(こうていけん)の書は紙面からはみ出さんばかりに(ときどき本当にはみ出して)自在に書かれていて、見ているだけで気持ちよく、この展覧会のなかで一番好きなのものはどれ?と聞かれたら、まずこれを挙げたくなります。
宋や元の時代の絵は思いのほか繊細でした。ほとんどの作品に「一級文物」と表示されていて、これは日本の国宝にあたるものでしょうか。これまで海外への持ち出しは厳しく制限されていたそうです。書画ともに、かつての日本人もあこがれたであろう一級品を目にすることができました。陶磁器、漆工 、刺繍などの工芸品もみごとでした。
第2部のほうは、清朝乾隆帝を軸にした多用な展示でした。そのなかで目を引いたのが大きな楽器、編磬(へんけい)と編鐘(へんしょう)です。この楽器とそれが描かれた絵については、こちらのブログに詳しく出ていますのでご覧ください。
「北京故宮博物院200選 研究員おすすめのみどころ(第2部の名品)」
なにしろこのあたりは駆け足だったのですが(笑)、日本の絵巻物と同じような長巻のなかに、楽器を奏する場面がいくつか出てきたのが確認できました。
特別展の会期は2月19日(日)までと残り少ないですが、国内ではおそらく二度と見られないであろう中国の国宝級のものばかり。一見をおすすめします。
閉館までねばって午後5時すぎ、会場の平成館を出ると、携帯やカメラを手に立ち止まっている人たちがいて、なにやら撮影スポットとなっているようです。あ、平成館と本館の間にスカイツリーが!
広大な中国の悠久の歴史に触れたあとではありますが、新しいものを目にするとそれはそれでうれしい、というわけで、私も。

(Y)