じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

範淨文雄(のりきよぶんゆう)師の節談説教

昨日のブログでも触れていましたが、すでに皆様もご存じのとおり、“なでしこジャパン” 優勝おめでとうございます!見応えのある試合でしたね〜。
話かわって、このブログ→風鈴、いにしえの音 - じゃぽブログでもご紹介しています「風鈴」。最近のお子さんにとっては、風鈴の音や虫の声が心地よいものに感じられないという話を聞いていたのですが、先日友人の中学生のお子さんに質問したところ、やはりどちらも心地よくないそうです。何が原因かわかりませんが、徐々に世代が移るに従って感性が変わっていく証拠のようにも思えました。ただ、鈴虫の鳴き声だけは好きだとのことでした・・・
日本の音楽や楽器音には自然を模したものが多いように感じるのですが、心地よいお坊さんの「説教」のリズムにも、1/f(エフ分の1)のゆらぎ、水の流れのような自然さを感じるものですね。「節談説教」の大名人、範淨文雄師(1913-1965)の六枚組CDを聴きました。

 

範淨文雄(のりきよぶんゆう)『範淨文雄説教集』
〜今蓮如と呼ばれた節談説教者・法悦とは心の共振現象〜
関山和夫氏が説教の話芸について「一声、二節、三男」「はじめシンミリ、なかオカシク、おわりトウトク」といったコツのようなものが伝えられていたと書かれているわけですが、とにかく範淨文雄師の声の凄さ・説得力には圧倒されます。そして、今も最前線で活躍されている廣陵兼純(ひろおかけんじゅん)師が発声・節まわしなどで、かなりの影響を受けていることがわかります。全部で14席が収められており、直林不退氏(相愛大学准教授)の解説そして杉本光昭氏(節談説教研究会理事)と府越義博氏(節談説教研究会事務局長)の文章が入ったブックレットも付属します。
発売元、国書刊行会のかたは、1巻第1席「凡夫そのまま来いよ」と4巻第1席「月影の至らぬ里はなけれども」が好きとのことでした。私が印象に残ったのは2巻第1席「五劫の思案は法蔵の片思い」です。たとえ言葉の意味を考えながら聴かなくても、流れるように心地よい見事な<音楽>が現出します。最後の3分強のたたみかけるようなドライブ感は爽快ですらあります。このトラック、音質的にはボコーダーがかかったようになっているのが面白いですね。

「節談説教」についてはこちらをご参考に→満覚寺で最後の節談説教布教大会 - じゃぽブログ
速報「生きとりゃまた会える」 - じゃぽブログ
『範淨文雄説教集』発売: 節談説教研究会

(J)