今年もお正月は郷里の秋田で迎えました。昨年の12月後半はいつもより雪が多く、真冬日もあったそうですが、大晦日と元日はめずらしく晴れて、おだやかな年明けでした。
元日の夜、来客を見送ってふと空を見上げると、きれいな月と星が見えました。秋田ではめったにないことですが、東京では星がきれいなのは冬と決まっていますね。
この季節は、いつも駅から帰り道、星をながめながら歩いています。そんなとき、決まって思い浮かぶのが「冬の星座」の歌です。
木枯らしとだえて
さゆる空より
地上に降りしく
奇(くす)しき光よ
ものみないこえる
しじまの中に
きらめき揺れつつ
星座はめぐる
この歌をおぼえた子供のころは、意味もわからず歌っていました。「ものみないこえる(物みな憩える)」というのは「もの見ない/超える」だと大人になるまでずーっと思っていました。
おととい6日の金曜日も「冬の星座」を口ずさみたくなる夜空でしたが、見上げながらふと、宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりのうた」のメロディーが浮かびました。いつも作曲家の林光さんのコンサートでアンコールに歌われているけれど、出だしは
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲のつばさ・・・
さて、続く歌詞はなんだったかな? などと思い巡らしながら帰宅したのでした。
その深夜、WEBのニュースで林光さんの訃報を知り、言葉を失いました。
たくさんの素敵な音楽と文章を世に送り出した林光さん。昨年も恒例の「林光・東混 八月のまつり」で、自分たちの世代は戦争の悲惨さを語り継ぐ使命があるのだと熱く語っていらした林さん。そして、このときもアンコールは「星めぐりのうた」でした。
どうしてこの夜にこの歌が浮かんだのかなんとも不思議ですが、林さんの作品を、林光さんのことを、ずっと大切にしていきたいと思っています。
(Y)