じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「新春 邦楽コンサート」拝見


先日19日土曜は、千葉市美浜文化ホールへ。
「新春 邦楽コンサート」を拝見してきました。先日の投稿、和楽器による「浜辺の歌」で紹介がありましたが、親しみやすく興味深い内容でした。このコンサートは「邦楽アウトリーチという邦楽を通しての地域活性化事業の一環として行なわれたそうです(「アウトリーチ」という活動については、中学校の音楽室でをご参照ください)。昨年9月から11月にかけて、コンサートに出演した邦楽演奏家のみなさんが千葉市内5つの中学校に赴き、一クラス単位での鑑賞プログラムを、また市内のいくつかのホールでは和楽器体験教室が開かれたのち、ついにこの日の公演を迎えたとのこと。大勢の方が訪れ、会場は満席でした。
オープニングは箏曲の古典として名高い「みだれ」。箏と胡弓の合奏です。中国の二胡とも違うどこか耳に優しい胡弓の音を聴く機会はなかなかありません。寿いだ雰囲気を感じさせるスタートでした。次に邦楽アウトリーチ「日本語をうたう」の回で歌詞の楽しさが話題となっていた「臼の声」。とくに実際に声を出して体験した生徒さんたちはその歌詞の面白さとともに、箏二面と三弦一挺の編成の華やかさもあらためて感じたことでしょう。さらに現代邦楽から杵屋正邦「浮拍子」。プログラムに「タイトルどおりウキウキと楽しく演奏いたします」と紹介がありましたが、三味線三挺の迫力のある音がリズミカルに、立体的に交わり、聴いているほうもウキウキとさせてくれたひとときでした。
休憩をはさみ、十七弦二面という珍しい編成の「絃歌―ストゥリングス―」でのダイナミックで華麗な音の世界をじっくり体感して拍手喝采、サワリの豊かな音色を駆使した三味線二挺による「ジャワリ」、そして邦楽アウトリーチ「日本語をうたう」の投稿で授業の締めくくりに演奏されたという「のはらうた」は、山田流の方々ならではの豊かな発声の弾き歌い、お箏の裏を叩くといった動きやユーモラスな身振り手振りなどに惹きこまれました。

写真提供:(財)地域創造

ラストに今回のコンサート出演者総勢9名による「浜辺の歌」美浜区の浜辺をイメージして選ばれた、おなじみの歌です。これを邦楽器でのアレンジという初の試みとなったそうですが、すっかり聴き惚れた観客からはアンコールの拍手が鳴りやまず、ふたたび披露されフィナーレとなりました。「やっぱり和楽器の音はいいですね…」という観客の方の声がたびたび聞こえ、全体を通してとても温かく、和やかで楽しい雰囲気のコンサートでした。

(じゃぽ音っと編集部T)