じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

NHK邦楽技能者育成会 同窓会演奏会

2013年3月9日(土)に渋谷区文化総合センター大和田、さくらホールで開催されるNHK邦楽技能者育成会同窓会 第1回演奏会「現代邦楽『考』」のご紹介です。

邦楽演奏家のプロフィールで、NHK邦楽技能者育成会第○期卒業という経歴をよく見かけます。NHK邦楽技能者育成会は1955(昭和30)年に設立された邦楽演奏のプロの育成講座で、ジャンルや流派を超えて一年間のコースをともに学ぶというものです。卒業生には、その後人間国宝となった方をはじめ、第一線で活躍している方がたくさんいます。
音楽理論音楽史の講座のほか、五線譜での合奏が当時としては画期的な試みでした。邦楽では、楽器が違うと楽譜が違いますし、同じ楽器でも流派によって記譜法がまったく違うということさえあります。五線譜を使うことによって楽器やジャンルの垣根を超えた合奏が容易になり、現代邦楽の世界が広がりました。いまでこそお箏の山田流と生田流の人が合奏したり、雅楽長唄の人が一つの曲を演奏したりという場面もそれほど珍しくなくなりましたが、その端緒を開いたといえるNHK邦楽技能者育成会の意味は大きいものでした。
時代を経て役割が終わったということで、育成会は2010年に第55期をもって終了しましたが、卒業生が集って同窓会を作り、現代邦楽をキーワードに演奏会を開くことになりました。
演奏会の企画委員の尺八演奏家、三橋貴風さん(第17期)のインタビュー記事が2月25日の読売新聞夕刊に掲載されています。(画像をクリックすると大きくなります)

プログラムは次のとおりです。

NHK邦楽技能者育成会同窓会 第1回演奏会
現代邦楽「考」

和楽器のための合奏曲」(1964) 小山清茂 作曲
 (竜笛/尺八/胡弓/三弦/低音三味線/箏/十七弦)
「絲竹交響」〜交響的三曲合奏〜(1964) 藤井凡大 作曲
 (尺八/三弦/箏/十七弦)
「ざざんざ」〜邦楽器と声による〜(1976) 杵屋正邦 作曲
 (尺八/琵琶/三弦/箏/十七弦)
邦楽合奏のための「ヘテロフォニー」(2010) 西村朗 作曲
 (篠笛/尺八/琵琶/三弦/箏/十七弦)

日本の伝統音楽において、“現代邦楽”とは一体何だったのかについては、歴史的評価を含めて、今後議論され検証されるべきテーマです。本演奏会はNHK邦楽技能者育成会出身者による演奏と、邦楽の創作において重要な役割を果たしてきた長廣比登志氏(前京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授)の講演による“現代邦楽”を考えるコンサートです。

2013年3月9日(土)午後3時開演。渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール。入場料は前売り3,500円、当日4,000円、学生3,000円。
演奏会の詳細はこちらをご覧ください。→公演情報:NHK邦楽技能者育成会同窓会演奏会 現代邦楽「考」<第1回>【日本伝統文化振興財団 じゃぽ音っと】
演奏会の記者発表の際の動画はこちらから見られます。→http://japan.japo-net.or.jp/news/nhk_hogakuginosha_ensokai_kou.shtml
なお、この公演はNHK-FM「邦楽百番」にて、3月30日(土)11:00〜11:50/再放送 3月31日(日) 5:00〜5:50と、4月6日(土)11:00〜11:50/再放送 4月7日(日) 5:00〜5:50の二回に分け、演奏会のライブ音源と邦楽技能者育成会のアーカイブ音源を放送する予定です。(当初告知していた日程より変更がありました。ご了承ください。)

(Y)