じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

国立歴史民俗博物館

国立歴史民俗博物館は、1983年3月に設置された日本の歴史・文化を研究・展示する博物館です。正式名称は「大学共同利用機関法人 人間文化研究機関 国立歴史民俗博物館」です。場所は、千葉県佐倉市にあり京成佐倉駅より徒歩15分、旧佐倉城跡の小高い丘の上にあります。約13万平方メートルの敷地に延べ床面積約3万5千平方メートルの規模を有する歴史民俗博物館です。隣接する城址公園は桜の名所で春には満開の桜を楽しむ人々で賑わいます。この時期は、夜もライトアップして夜桜も堪能することが出来ます。
同館の設置目的は、我が国の歴史資料、考古資料及び民俗資料の収集・保管及び公衆への供覧並びに歴史学、考古学及び民俗学に関する調査研究をおこなうことです。更に、原始・古代から近代に至るまでの日本の歴史と民俗世界をテーマに実物資料に加えて精密な複製品や学問的に裏付けされた復元模型などを通して日本の歴史と文化について理解を深められるように一般展示もおこなっています。

展示室は6室あり、下記のテーマ別に展示物が陳列されています。

   第1展示室(原始・古代)
   第2展示室(中世)
   第3展示室(近世)
   第4展示室(民俗)
   第5展示室(近代)
   第6展示室(現代)


その他、最近の催し物としては講演会として5月11日に「祭りを継承する絆の創造―祭り研究の最前線から」(講師:川村清志氏)、6月8日に「企画展示【行列】にみる近世の舞台裏―行列を追っかけるー」(講師:久留島浩氏)などが予定されています。講演会のほかにも映画試写会や総合展示ギャラリートーク(各展示室の解説)などいろいろなイベントが企画されており、一般の方が日本の歴史・民俗に親しめるよう工夫をこらしています。

ところで、佐倉といえば、歌舞伎の演目でも有名な「佐倉義民伝」伝承の地です。凶作と熾烈な徴税にあえぐ佐倉の農民を救おうと、死を覚悟して将軍へ直訴した下総佐倉の名主佐倉惣五郎が農民の租税軽減には成功したものの、磔(はりつけ)の刑に処されたというお話です。
また、「東の佐倉、西の長崎」と言われるほど蘭学医学が盛んな土地でもありました。江戸時代末期老中であった佐倉藩堀田正睦が「西洋堀田」というあだながつけられたほどの開明家だった影響が大きかったようです。その当時創立されたものに、佐倉順天堂や成徳書院などがあります。


同館は、日本の歴史・文化を総合的に理解するにはとても便利な博物館です。都心からは少々時間がかかりますが、旧堀田邸や佐倉順天堂記念館、武家屋敷などいろいろな観光スポットとあわせて是非、一度は訪れたい場所です。

(yuji)