2020年10月8日、トッパンホールで開催された「第十四回 善養寺惠介尺八演奏会」に伺ってきました。今年の春から、コロナ禍で邦楽の演奏会も軒並み中止、延期となったなか、本当に久しぶりの演奏会でした。
チラシには、ご本人のメッセージとして「新型コロナウイルス感染拡大の中での開催につきましては、延期・中止すべきか否か、大変迷うところでございましたが、我々に必要なものは身体の健康は元より、胸のわだかまりを融かし、心に清涼の風を通すことこそ最も大切であるとの思い止み難く、開催を決断いたしました。」とありました。
会場では感染防止対策がさまざまにとられ、客席は一つおきの指定。ホール定員の半分にして、一日2回の公演でした。
祈りのようにも聞こえる「松巌軒 鈴慕」に始まり、「霧海篪」の独奏、田辺頌山さんとの二本の尺八による「鹿の遠音」、三弦の藤本昭子さんとの一挺一管 「竹生島」、 箏の山登松和さんとの自在なコラボレーション「虚空・乱輪舌による構成曲」まで。考え抜かれたプログラムと素晴らしい演奏にしみじみと聴き入りました。生の演奏をその場で全身で味わえるのは何とありがたいことかと思わずにはいられませんでした。
邦楽もそろそろ演奏会を再開する動きが出ています。当財団で後援している公演情報はこちらからご覧になれます。
感染防止のため、会場の定員を減らしたり、マスク着用、連絡先の届け出など主催者はいろいろと工夫されています。ご協力のうえ、お楽しみいただければと思います。
とはいえ、遠方だったり、体調やさまざまな心配から会場には来られない人のために、オンラインで配信する演奏家も増えています。
善養寺さんもこの演奏会のアーカイブを配信するとのこと。また、はじめから無観客でオンライン配信という公演もあります。自宅でゆっくり鑑賞というのもまた別の楽しみ。こちらもぜひチェックしてみてください。 (Y)