じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

砂崎知子先生 第36回伝統文化ポーラ賞優秀賞受賞!!


本年度受賞者の皆様と共に。

本年度のポーラ賞授賞式は、10月26日ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われました。今回は財団としても大変嬉しいことに、箏曲家の砂崎知子先生が、優秀賞を受賞されました!そして、奨励賞は京舞の伝承が評価され、井上安寿子様が受賞!!

砂崎先生は、かねてより宮城道雄作品の演奏には大いに定評のあるところではありましたが、古典から現代曲にいたるまで幅広いジャンルを、超絶技巧とも思える演奏で弾きこなすことはもちろん、ヴィヴァルディの「四季」を箏合奏曲としてアレンジ・演奏・録音など、これまでに大いに活躍されてきました。


ポーラ賞の披露演奏はヴィヴァルディの「四季」!!

近年ではオリジナル曲の作曲を手がけ、楽譜やCDの発行で積極的に普及に努めておられることは既にご承知の通り。今年の初めには、箏道音楽院を設立し、後進の育成にも尽力されていますね。


財団からは3枚の作品集がは好評発売中です!!
詳細はコチラ⇒じゃぽ音っと作品情報:光の中で/砂崎知子箏作品集(1) /  砂崎知子じゃぽ音っと作品情報:烏城/砂崎知子箏作品集(2) /  砂崎知子じゃぽ音っと作品情報:富士讃歌/砂崎知子箏作品集(3) /  砂崎知子
今秋の受賞にあたり、砂崎先生は、「母より受け継いだ宮城芸術を基盤とし、現代に生きる箏曲を、創作と演奏により後世に残してゆくことを使命として、この受賞を機に精進してゆく」とのコメントを発表しています。


ポーラ賞のお祝に駆けつけて下さった池田弘一先生と共に!!

我らがトモゴン!がんばれ〜!!!!

(やちゃ坊)

「ミスター古曲」鈴木庸生さんの追善演奏会

「〜故人の多彩な芸歴を辿って〜 鈴木庸生(鈴木信男)追善演奏会」が2016年10月15日(土)、紀尾井小ホールでありました。

鈴木庸生(本名、鈴木信男)さんは1951(昭和26)年生まれ。2014年5月9日、63歳で永眠されましたが、今年三回忌を迎えたのを期に奥さまの鈴木彩家子さんが主催された追善演奏会です。鈴木庸生さんといってもご存じない方も多いと思いますが、邦楽界では次のような芸名で広く活躍されていました。

小唄・・・竹枝 せん男 (ちくし せんお)
東明流・・・東明 吟泉 (とうめい ぎんせん)
荻江節・・・荻江 里泉 (おぎえ りせん)
河東節・・・山彦 良波 (やまびこ りょうは)

とくに邦楽の貴重な分野、「古曲」といわれる荻江節、河東(かとう)節ではなくてはならない存在で、古曲会主催の演奏会「古曲を知る」シリーズでは立三味線を受け持つことが多く、関係者の間ではひそかに「ミスター古曲」と呼ばれていました。この演奏会シリーズを収めた当財団発売のCDセット「古曲の今」と「古曲の今 第二集」には、それぞれ7曲の演奏が収められています。

古曲の今」(CD12枚組)VZCG-8362 2006年 → じゃぽ音っと作品情報:古曲の今(12枚組)
山彦良波の名で河東節「泰平住吉踊」、「邯鄲(下の巻)」、「児桜竹馬の鞭」、荻江里泉の名で荻江節「深川八景」、「松・竹」、「鐘の岬」、「分身草摺引」の三味線。


古曲の今 第二集(CD10枚組)VZCG-8464 2010年 → じゃぽ音っと作品情報:古曲の今 第二集 ── 河東節・一中節・宮薗節・荻江節 ── (10枚組)
山彦良波の名で河東節「松の内」、「浮世傀儡師」、「道成寺」、荻江里泉の名で荻江節「現在道成寺」、「紅葉狩」、「喜撰」「紅葉賀」の三味線。

10月15日の追善演奏会では、ご本人出演の荻江節「深川八景」の映像が流されました。唄のご出演で、とてもよいお声でした。残念ながらCDには唄は収められていませんが、河東節では三味線方が「ハオー」と声をかけるのが特徴で、その良波さんの声とお姿を思い出しながら拝見しました。
小唄の「竹枝せん男」さんとしても、当財団はご縁がありました。毎年7月に開催している「ビクター名流小唄まつり」では、ご出演だけでなく、竹枝派のまとめ役としてお世話になりました。亡くなられた一昨年も、ご社中の出演順や曲名の表記など、電話口で優しく教えてくださいました。これがお声を聞いた最後になってしまい、7月の小唄まつりのご出演は叶いませんでした。
プログラムにある略歴を拝見すると、お母さまが小唄の師匠で、幼少より手ほどきを受けたということです。これほど広い芸歴をもっていますが、その始まりは小唄で、いちばん長く続けていらしたことがわかります。小学3年生のとき、三味線を弾きながら小唄を唄う天才少年として、NHKの人気番組「私のひみつ」に出演したというエピソードも写真付きで掲載されていました。

小唄に加えて、子供のころから日本舞踊、常磐津、長唄囃子も学ばれたそうです。東京芸術大学長唄囃子で入学されたというのは少し意外でした。追善演奏会の会場ロビーには写真もたくさん展示されていて、そのなかには大鼓を打っている珍しいお写真もありました。大学在学中から長唄三味線と東明流、卒業後に一中節、荻江節、河東節を学ばれたということです。
63歳というお歳はあまりにも早く、本当に惜しまれます。演奏家としてももちろんですが、貴重な邦楽の分野の、次の世代への橋渡し役として、まだまだ活躍していただきたかったと思うばかりです。
追善演奏会では、タイトルのとおり故人の多彩な芸のなかから、小唄、荻江節、河東節が演奏され、最後は散る花を惜しむ曲、東明流の「花の心」で締めくくられました。

「〜故人の多彩な芸歴を辿って〜 鈴木庸生追善演奏会」プログラム

■小唄
縁日の(麦湯むすめ)/紺の前だれ
 唄 竹枝千雪  糸 竹枝せん喜美
恋しき人は/わしに逢いたくば
 唄 竹枝紋寿  糸 竹枝せん喜美
■故人の映像 (小唄 平成24年4月22日収録)
夕立や田を/鉢の朝顔
 唄 竹枝せん男  糸 竹枝せん喜美
■故人の映像 (荻江節 平成25年10月4日収録)
深川八景
 唄 荻江里泉 荻江裕
 三味線 荻江里一 荻江里暢
荻江節
遍昭(荻江里泉 復曲)/喜撰
 唄 荻江七重  三味線 荻江里一 荻江里暢
荻江節
短夜(みじかよ)
 唄 荻江泉江  三味線 荻江里一 荻江里暢
■河東節
秋の白膠木(ぬるで)
 唄 山彦花葉 山彦まさ子
 三味線 山彦千子 山彦季代乃
■東明流
花の心
 唄 東明栄三舟 東明昶舟 東明吟和 東明柚紀舟
 三味線 東明幹舟 東明吟峰 東明遊舟 東明吟宗
 箏 渡辺鳳代賀

(Y)

柴田南雄生誕100年・没後20年!!

合唱ファンにはおなじみの柴田南雄先生は、今年生誕100年・没後20年を迎えました。

あらゆる分野で偉業を成し遂げた柴田先生ですが、とりわけシアターピースのなかでも、尺八を演奏しながら客席の中を行き交う「追分節考」、まりつき、お手玉、羽子板など子どもたちが遊びをしながらわらべ歌を歌う「北越戯譜」などは、合唱ファンならずとも馴染み深いものがあるのではないでしょうか。
追分節考」「北越戯譜」を収録したCDは上記VZCC-91、92の2枚組CDです。詳細はこちら⇒ じゃぽ音っと作品情報:柴田南雄/合唱のためのシアター・ピース[SHM-CD増補解説版](2枚組) /  田中信昭(指揮)/佐藤信(演出)/東京混声合唱団/他
北越戯譜」関連記事はこちら ⇒じゃぽブログ「大の阪(大の坂)」 
西洋音楽の手法を知り尽くした上で、日本民謡東大寺の声明など日本文化にも大変深い理解と興味を持ち、合唱の世界に新しい世界を切り拓いた巨匠の偉業には、改めて感動することしきりです。演奏会も多数行われることと思いますが、この機会に、もう一度聴きなおしてみてはいかがでしょうか???

「無限曠野」「児童合唱のための銀河街道」ほかを収録した2枚組CD

詳細はこちら⇒ じゃぽ音っと作品情報:無限曠野/銀河街道 ── 柴田南雄後期作品集(2枚組) /  高橋悠治、田中信昭、東京混声合唱団 他

「優しき歌・第二」ほかを収録したCD

詳細はこちら⇒ じゃぽ音っと作品情報:日本合唱曲全集 優しき歌・第二/柴田南雄 作品集 /  東京混声合唱団 他

11月5日には東洋音楽会第67回大会の公開講演会があり、「東洋音楽学会と柴田南雄―学会創立80周年と柴田南雄生誕100周年にあたり―」と題したシンポジウムが開かれます。それに続いて、柴田南雄作品(「熊野へ参らむと」「遠野遠音」)の公開演奏会も予定されています。

公開講演会・演奏会は、会員以外の方も自由に聴講できるそうです。詳しくはこちらをご覧ください。→ 一般社団法人 東洋音楽学会

(やちゃ坊)

第20回財団賞受賞者・川瀬露秋さんのDVDができました!!

[:W300]

このDVDに収録した「阿古屋(あこや)」は、地歌箏曲に加えて歌舞伎の分野でも活躍した川瀬白秋師の門下ならではのレパートリーです。露秋さんが歩んでいる芸の道は、三弦、箏、胡弓のまさに「三曲」。その芸の道を、突っ走るのではなく、日々の経験から何かを発見し、学び、先人の歩みを一歩一歩踏みしめるように前進していくのが彼女の良いところです。このDVDには、彼女の不断の努力から引きだされた魅力ある表現が凝縮しています。
 ― ライナーノーツより 野川美穂子東京藝術大学音楽学部講師) ―

第20回財団賞「川瀬露秋(箏曲地歌、胡弓)」のDVDが9月21日に発売になりました!
収録日は2016年7月5日 三越劇場にて。
商品番号 VZBG-52  定価 3,500円+税
お近くのレコード店。ネットショップでもお買い求めいただけます。

収録演目は、下記の通り。竹本駒之助先生はじめ、藤井泰和先生、川瀬順輔先生のご助演とご協力をいただいて、緊張感に溢れた熱演の舞台を収録しました!!


1.「阿古屋」
演奏:三曲 川瀬露秋、浄瑠璃 竹本駒之助(人間国宝)、三味線 鶴澤津賀寿、ツレ 鶴澤津賀花



2.「残月」
演奏:三弦本手 川瀬露秋、三弦替手 藤井泰和、尺八 川瀬順輔



3.「鶴門」
演奏:胡弓 川瀬露秋、尺八 川瀬庸輔


DVDの小冊子には、巻頭言と各楽曲の解説を野川美穂子先生(東京藝術大学音楽学部講師)にご執筆頂きました。詞章付き。また、世界へと飛翔する若手演奏家のために英文解説も付けた充実した内容です。
じゃぽ音っと作品情報:第二十回日本伝統文化振興財団賞 川瀬露秋(地歌箏曲・胡弓) /  川瀬露秋
財団では、将来一層の活躍が期待される優秀なアーティストを毎年1名顕彰しており、過去の受賞者19名はそれぞれの邦楽ジャンルにおいて、実に見事な活躍ぶりを示しています。財団賞の説明とこれまでの受章者一覧詳細はコチラ⇒ http://jtcf.jp/cultivate

(やちゃ坊)

国立劇場開場50周年

東京、三宅坂国立劇場が、今年開場50周年を迎えました。9月3日の文楽公演を皮切りに、来年3月まで記念公演が目白押しで、楽しみです。

開場したのは昭和41(1966)年11月1日だそうです。開場記念はどんな公演、演目だったのでしょうか?そして出演者は?と思いたって、「文化デジタルライブラリー」で公演記録を検索してみたところ、「国立劇場祝賀公演」として、大劇場・小劇場ともに『翁千歳三番叟』が演じられたようです。
大劇場は、翁が三代目市川寿海、千歳が七代目尾上梅幸、三番叟が十七代目中村勘三郎、また小劇場は、翁が花柳壽應、千歳が七代目中村福助、三番叟が八代目坂東三津五郎と、いずれも豪華なメンバーです。
国立劇場の敷地内にある「伝統芸能情報館」では「国立劇場50年の歩み展」が開かれていますので、そちらも要チェックです。

9月10日(土)、国立劇場開場50周年記念公演の9月舞踊公演「道成寺の舞踊」(1時の部)に行ってきました。
幕開けは50周年の開幕を寿ぐ『七福神船出勝鬨』。恵比須さん役の山村友五郎さんをはじめ実力派男性舞踊家5名で結成された五耀會の出演で、楽しくも華やかな舞台でした。つづいて「道成寺三題」で、荻江節『鐘の岬』、新曲『切支丹道成寺』、義太夫長唄京鹿子娘道成寺』。
プログラム
昭和の新作『切支丹道成寺』は、道成寺の物語を戦国末期に移したもので、舞台はお寺ではなくキリシタンの礼拝堂。箏や三味線にオルガン、ヴィブラフォンなど西洋の響きを加えた曲がその雰囲気をよく表していて、音楽にも興味をひかれました(作曲者の平井澄子さんらによる録音音源を使用)。
京鹿子娘道成寺』を踊ったのは女性舞踊家の中村梅彌さん。歌舞伎舞踊そのままに約1時間の大曲を踊りきり、迫力がありました。お父様の中村芝翫さんの道成寺歌舞伎座で拝見したことなど思い出しながら楽しみました。
このあと、2017年3月までの50周年記念公演ラインアップはこちらをご覧ください。→ 50周年記念公演ラインアップ|国立劇場50周年記念サイト|国立劇場
歌舞伎、文楽、邦楽、舞踊のほか、声明、雅楽、太鼓、民俗芸能、琉球芸能まで充実した内容で、この記念の年に出会えたことを幸せに思います。

(Y)

日本民謡フェスティバル2016

去る、平成28年6月26日(日)、東京渋谷のNHKホールに於きまして「日本民謡フェスティバル2016」が盛大に開催されました。「日本民謡フェスティバル」(主催:公益財団法人 日本民謡協会)は、日本各地で開催されている民謡全国大会の優勝者たちが、年に一度NHKホールに集結し、「民謡日本一」を目指して競いあうというものです。今年も50名のすばらしい唄声を堪能することが出来た、大変華やかな大会でした。
その模様が、下記日程で放送されますのでお知らせ致します。
NHK総合(テレビ)8月28日(日)15:05〜16:34
【司会】ナナオ、須藤圭子(民謡歌手)

今年はビクター専属民謡歌手の須藤圭子さんが司会アシスタントをつとめています!
こちらもどうぞご注目下さい!

(K)

じゃぽキッズ発表会シリーズ、本日発売!

連日暑い日が続きますね。幼稚園や保育園、小学校の先生は、この夏休みに秋の運動会や発表会の準備をなさる方も多いと思います。そんな中、毎年好評を頂いている児童用教材/平多舞踊研究所監修・振付けによる「じゃぽキッズ発表会シリーズ」が、いよいよ本日発売となりました!

今回は、先生方から大変リクエストの多かった<Hip Hopもの>の「Dr.モンキー」を収録!本格的なHip Hopの曲にのせ、コミカルなお猿のドクターが踊ります。医療器具がどんどん出て来るラップが楽しい1曲です。

その他、可愛いフラダンスの曲「アロハ・フラ」や、前年大人気だった「日本昔話ヒーローズ」の女の子版、シンデレラと白雪姫、オーロラ姫の3人のお姫様が登場する「ヒロインはプリンセス♡」など、楽しい曲がたくさん!まずは試聴してみて下さい!近日中にYoutubeにて動画をUP致しますので、是非あわせてご覧になってみてくださいね〜。

昨日は最高気温を更新する猛暑の中、東京都の墨田リバーサイドホールにて「サマースクール」という、じゃぽキッズ発表会の講習会が行われました。

外はとても暑い中、遠方からいらした先生も沢山いらっしゃいましたが、皆さんとても熱心に、20曲以上を熱心に踊っていました。先生方、本当にお疲れ様でした!とてもわかりやすく、また笑い声の絶えない楽しい講習会です。2016年運動会の講習会は昨日で一段落しましたが、また毎年春と秋に全国で行っていますので、よろしければチェックして、是非足を運んでみてくださいね。
講習会のブログはコチラ

(まりちょ)