じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

小唄はいかが

毎年7月、七夕のころに「ビクター名流小唄まつり」が開催されます。現在は当財団の主催ですが、歴史は財団より古く、昨年ちょうど第50回記念演奏会が2日間にわたって行われました(→ )。今年は7月5日と6日の両日、三越劇場で開かれます。
春もまだなのに気が早いといわれそうですが、そろそろ今年の開催にむけて準備をはじめる時期となりました。そこで、50回記念として制作されたCDアルバム「小唄まるかじり」を取り出して聞いてみました。
[:W250]
CD2枚組に一人一曲、計69曲入っています。ほとんどが昭和期に活躍した小唄の名手で、半分以上が明治・大正生まれ。豊かな声、甘い声、気っ風のいい調子や芝居がかった歌い方など、それぞれ個性があって聞きあきません。
小唄の三味線はバチを使わず爪弾きしますが、三味線の響きも心地よく聞こえてきます。解説によると、小唄は三味線が六分、唄が四分の比重で曲ができているのだとか。なるほど!
監修の波多一索さんが解説「小唄今昔」のなかで、日本に小唄をはじめとする民間小歌曲の類が多いのは「一年が四季に彩られ、俳句や盆栽など小さいものの中に無限の宇宙を感じる国民性によるのかもしれません」と書いています。
四季の風景や風物にこと寄せて恋心や寂しさを歌っていたり、義太夫や歌舞伎の一場面を切り取っていたり、またユーモアたっぷりの歌詞があったりと、まさに俳句に通じる世界です。
小唄がいちばん盛んだったのは昭和30年代で、紳士のたしなみとまでいわれ、宴席でよく披露されたそうです。このCDには歌舞伎俳優の先代中村勘三郎日本画家の伊東深水など、当時の名士による味わい深い小唄も収録されています。
ブックレットには "Kouta Past and Present" のタイトルで英訳された解説が載っていますし、曲の題名はすべてローマ字でも表記されていますので、外国の方へのプレゼントにもおすすめです。きっと日本情緒を感じとってもらえることと思います。
69曲の詳細はこちら→ じゃぽ音っと作品情報:小唄まるかじり(2枚組) /  春日とよ、蓼胡蝶、市丸、他

(Y)