じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

福島県を代表する民謡歌手、鈴木正夫さん

3月11日の東日本大震災から70日以上が経ちました。まだまだ厳しい状況が続いていますが、被災地の皆さんが復興に向けて頑張っている姿は、逆に私達に勇気を与えてくれているように思えます。しかし、福島第一原子力発電所の事故はいまだ予断の許さない状態が続き、家はあるのに避難せざるを得ない近隣の方々のやり切れない思いは、計り知れません。1日も早く住み慣れた家に戻れることを心から願っています。

その福島県にはご存じの通りいくつもの名所があり、その地その地に民謡が生まれ、今でも盛んに唄われています。そして、福島県を代表する民謡歌手と言えば、ビクターの鈴木正夫さん。町の3分の1が津波の被害を受けたという相馬郡新地町にお住まいですが、ご自宅が山側にあったことで大きな被害は受けなかったとのこと。今は時間を見つけて避難所へ出向き、唄のボランティアもされています。

震災後の大変な時期なのですが、この度、鈴木正夫さんに無理を言って5月に入り2回ほど上京していただき、鈴木正夫さんファン、民謡ファンに直接お話しする機会を作ることが出来ました。

1つ目は、最近よくこのブログでもお知らせしているUSEN「高橋キヨ子の民謡一番!」の6月放送分ゲスト収録。1ヶ月間、K-33チャンネルで流れますので、ぜひお聴きください。いつも素敵な高橋キヨ子さんとの楽しいおしゃべりの他、福島県相馬の民謡を中心に選曲しています。
 

2つ目は、いつも大変お世話になっている東京都民踊連盟様の総会での講演。「民謡の伝承」について45分ほど興味深いお話しをしていただきました。お話だけでなく、鈴木正夫さんの代表曲「涙のお立ち酒」の他、「弥三郎節」「還暦祝い節」の3曲を唄ってくださり、皆様に喜んでいただくことができました。
 

講演中、鈴木正夫さんの言葉で印象的だったのが、「福島県に限らず東北の広い地域が大きな被害を受けて、美しい風景が消えてしまったけれども、決して民謡の心は無くならない!今こそ民謡を唄い踊ろう!」という熱い言葉でした。鈴木正夫さんのおっしゃる通りだと思いました。民謡の底力を信じたいと思います。
鈴木正夫さん、ありがとうございました。

(K)