じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

道端の石碑から

自分が住んでいる東京近郊のとある地域では、道端にこうした石碑が小さい堂に収められている姿を目にすることがあります。庚申塔でしょうか。Webで検索するとウィキペディアにありました→。そのなかに以下のような説明があります。

明治時代になると、政府は庚申信仰を迷信と位置付けて街道筋に置かれたものを中心にその撤去を進めた。さらに高度経済成長期以降に行われた街道の拡張整備工事によって残存した庚申塔のほとんどが撤去や移転されることになった。
現在、残存する庚申塔の多くは寺社の境内や私有地に移転されたものや、もともと交通量の少ない街道脇に置かれていたため開発による破壊を免れたものである。田舎町へ行くと、今でも道の交差している箇所や村落の入り口などに、「庚申尊天」と書かれた石柱を全国で見ることができる。(Wikipedia庚申塔」歴史より引用)

そういえば、自分は近所のさまざまなところ――交差点や古いお寺や神社の近くでけっこう見かけます。ここからふと興味が湧き、この塔が道沿いに作られたころの風景はどんな感じだったんだろう?と古地図を眺めて位置を照らし合わせていると、今は新しい道に埋もれた古い道が浮かび上がってくるかのようで興味深いです(先日の投稿で話題だった「アースダイバー」はもちろん、NHK「ブラタモリ」も面白いです)。近所にある細く曲がりくねった古い道(途中、古いお寺の近くにさきほどの写真の庚申塔があります)は、低湿地帯を避けるように台地を通っていきますが、その近くで自動車が多く通る「新道」はその低湿地帯をまっすぐ横切るように伸びていました。すでに各地で開発や区画整理が進み、身近で歴史的な遺産を見つけるのは難しくなってきているように感じますが、これからも残っていってほしいものです。
最後に自分が古い道を探す際に参照したWebサイトをご紹介。明治初期から中期にかけて関東地方を対象に作成された「迅速測図」と現在の地図を比較したものが独立行政法人農業環境技術研究所ホームページ内にある、関東地方の歴史的農業開発閲覧システムというページで閲覧できます。関東地方限定ですみませんが、ご興味のある方はぜひ。

(じゃぽ音っと編集部T)