じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東京[無形文化]祭より「弔う」―じゃんがら念仏踊り

今朝、別所哲也さんがナビゲートするJ-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」を聴きました。明日17日のBunkamuraオーチャードホール 19:00〜の公演「パキスタンの歌姫サナム・マールヴィー スーフィー・ソングを歌う」を前に、サナム・マールヴィーさんが生出演。バーバル・アリーさんのバースリー(横笛)の音色とサナムさんの歌声によるスーフィー民謡は本当に素晴らしかったです!
別所さんは「どこか日本の民謡にも通じるようなところがあります」とおっしゃっていました。思いのこもった唄は、仮に言葉が分からなくても、心に深く残るものだとあらためて感じ入ったひとときでした。(明日17日の当日券はBunkamuraオーチャードホールで17:30より販売開始ですので、ぜひ!)
さて今週の東京[無形文化]祭は、この17日(火)パキスタン公演、18日(水)紀尾井小ホールの「祈る」―宮古島の神歌と古謡 公演20日(金)草月ホール「韓国珍島の死と祝祭」公演と目白押し。つづく22日(日)15:00〜有楽町朝日ホールでの「弔う」―じゃんがら念仏踊り 公演もどんなステージになるのか、今からとても気になる公演のひとつです。
東京[無形文化]祭サイトでも少し告知をしましたが、TOKYO FMでは7月8日(日)5:00〜に放送された「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」(聞き手:田中美登里さん)をお聴きになった方はいらっしゃいますか? 私は当日、目覚ましをセットして早朝に起床、なんとか聴くことができました。
この日のテーマは「じゃんがら念仏踊り」でゲストはASA-CHANG(写真/東京[無形文化]祭の「弔う」―じゃんがら念仏踊り公演のナビゲーター)
東京スカパラダイスオーケストラ創始者で、その脱退後は日本国内のさまざまな有名ミュージシャンのレコーディングやライブに参加しているフリーのパーカッショニスト。またユニット、ASA-CHANG&巡礼での活躍をご存知の方も多いのではないでしょうか。ASA-CHANGの番組でのじゃんがら念仏踊りのお話を自分なりにまとめてみましたので、以下よろしかったらご覧ください。

 いわきに生まれ、高校時代までいわきで過ごしたASA-CHANGにとって、じゃんがらの音は本当の意味でのソウル・ミュージック。夏になると聞こえてくるじゃんがらの音は、いわきの子供たちにとってどこかワクワクするものだったそうです。
 昨年の3.11の大震災と大津波以降、自分の音楽にどんな効力があるのかを考えてみると、レクイエムとなる鎮魂の郷土芸能=いわきのじゃんがら念仏踊りに辿りつき、地元の青年会、じゃんがら保存会では異例ともいえる「48歳の一年生」として昨年の夏に初参加。プロのパーカッショニストとしての経験とは違い、その独特の所作やうたって舞い踊り、太鼓を打つというのは本当に難しいとのこと。「今まで覚えてきたいろんなものが邪魔しているような気もします。無垢になれないっていうか、ゼロになれないっていうか…」
 舞い踊るといっても単なる娯楽ではない仏事で、お盆に帰ってきた魂を鎮魂するという、ちょっと不思議な郷土芸能。下をうつむいて、地面に近いところに太鼓があるそのたたずまい、独特な形のバチ、まるでしっぽのある生き物のようなそのバチを振ったり、回したりする様子を「鎮魂で帰ってきた方の、形を模しているんだよ」と聞いたことがあるのだそうです。

すでにご存知の方も多いと思いますが、「ASA-CHANGとじゃんがら念仏踊り」について、動画サイトがたくさんアップされていますね。あらためてご紹介させていただきます。
ASA-CHANGじゃんがら初本番

じゃんがら念仏踊りに取り組むASA-CHANGの声

ASA-CHANGじゃんがら念仏踊り地震津波

念仏踊りは、江戸時代初期、明暦2年(1656年)に始まったと伝えられ、それから350年ほど経った今にまで、長く大切にされてきたかけがえのない郷土の無形文化財(詳しくは、一公演にお越しの方が無料で入手できる64ページのカラー豪華版、東京[無形文化]祭のパンフレットで!)東京でのステージは本当にまたとない機会です。単なる娯楽にとどまらない、亡くなった方々への思いがこもった鎮魂の芸能公演は、きっと深い印象を残すものとなるでしょう。ぜひご注目ください!

(じゃぽ音っと編集部T)