じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

生田神社と生田の森


兵庫県神戸市中央区三宮駅近く、東急ハンズの北側に神功皇后(じんぐうこうごう)以来の歴史を有する生田神社があります。昨年の3.11東日本大震災の直後に来日公演を行ったシンディ・ローパーさんは、1996年にこの神社で行われた阪神・淡路大震災の慰問と励ましのための節分の豆まきの際にも参加されたようですね。境内の北側には鎮守の森である「生田の森」が広がり、真夏の太陽が照りつける白日の下、この森の中には小川も流れひんやりと涼しいオアシスでした。

生田の森から須磨の一の谷に至る全域が戦場となった「一の谷の戦い」で、平家軍は生田の森を東の城戸(きど)として、生田川に逆茂木(さかもぎ)を並べて陣を張り、平知盛(たいらのとももり)を大将として源範頼(みなもとののりより)軍を迎え撃ちました。また、須磨の海岸で待ち伏せた源氏方の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)が我が子の小次郎と同じ年頃(当時十六歳)の少年だった平敦盛(たいらのあつもり)の首を泣く泣くはねたことは源平合戦の名場面となっています。

この森には武蔵坊弁慶義経の代理として参拝したおりに奉納した竹なども史跡として残されています。弁慶は能の『安宅』そしてそれを歌舞伎化した『勧進帳』の主役でもありますね。昨日のブログもご参照下さい。
一中節「安宅勧進帳」 - じゃぽブログ

文楽の時代物「御所桜堀川夜討の弁慶上使の段」に登場する弁慶は、これまでの生涯に泣いたことのなかったという弁慶が、涙をこぼします。「御所桜堀川夜討の弁慶上使の段」はこちらの義太夫のCDもお楽しみ下さい→じゃぽ音っと作品情報:義太夫選集/豊竹山城少掾(12枚組) /  豊竹山城少掾(豊竹古靭大夫)
音楽芸能の守護神である生田弁財天にもお参りしてきました。

「弁財天(弁才天)はもともとはインドのヒンドゥー教の神様サラスヴァティーです。 このサラスヴァティーとは聖なる(豊かなる)河といった意味で、水の神様とされてきました。(中略)もともと河の神様のサラスヴァティーですが、河の(水の)流れの音が、音楽や豊かに溢れる言葉を連想させることから、音楽をはじめとした芸術や学問全般の神様としての信仰も集めました 」http://www.inokashirabenzaiten.com/profile.htmより。
七世 芳村伊十郎によるCD→じゃぽ音っと作品情報:ノイズレスSPアーカイヴズ 勧進帳/七世 芳村伊十郎〈Ⅱ〉 /  七世 芳村伊十郎(四世 芳村金五郎、九世 芳村伊四郎時代)

(J)