じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

邦楽ワークショップのすすめ

以前ご紹介した「和楽器の音色と遊ぼう」という千葉市で開催している邦楽ワークショップのシリーズ、11月4日の「三味線おと探検」と11月17日の「お箏で江戸を味わおう」を見学してきました。
邦楽のワークショップは、最近では学校や地域の公共施設など、さまざまなところで開かれるようになりました。催す側もアーティストの団体や劇場、また地方自治体(→「夏休みの三味線体験」)などといろいろです。体験編ということで、たいてい受講料は安価ですし(無料のことも)、楽器や道具も用意されています。邦楽の紹介や普及のために講師陣もはりきって指導してくれるので、オススメです。

「三味線おと探検」は、三味線にはいろいろな弾き方があることを覚えて、自分で面白い音を探してみよう!という内容でした。一方「お箏で江戸を味わおう」は、一曲仕上げて歌とお箏を演奏してみようというもの。どちらもまず音を出すところから始まって、2時間程度で形にするので、先生も受講者もなかなかたいへんそうでしたが、健闘していました。

初めての楽器が弾けるというのは、大人になってもうれしいものです。それまで見たり聴いたりするだけだった楽器が急に身近に感じられるとともに、プロの演奏がどんなに素晴らしいものか、改めて知るきっかけともなります。
私自身もワークショップでいろいろな楽器に挑戦してみたことがあります。なかでも印象に残っているのは、清元の三味線の体験です。短時間ですが「佃(つくだ)」の手を習い、最後は肩衣(かたぎぬ)までつけてもらって弾きました。「佃」は、三味線のスクイとハジキの手法を使って「♪♪♪ ♪♪♪ ♪」という音型の繰り返しなのですが、川の流れを表していると教えてくれました。実際にはゆっくり弾いたりとても速く弾いたり、音の高さも変えて変化をつけます。
その後、歌舞伎を観にいったとき、川端の場面でこの三味線が聞こえてきて「あ、佃だ!」と気づきました。当財団で主催している「小唄まつり」でも、舞台からこのメロディがよく聞こえてきます。曲名を知らなくても「川に関係のある小唄かな?」とわかります。清元だけでなく邦楽全般で、これが出てくると「川の流れ」というお約束なのですね。とても単純な音型ですが、実際に水の流れのように聞こえてくるから不思議です。
1回のワークショップで楽器や歌をマスターするのはとうてい無理ですが、習った音の断片でも、先生の言葉でも、何か一つ覚えて帰ることができれば邦楽を楽しむきっかけになると、自身の経験からも思います。身近でこのようなチャンスがあれば、大人も子供もぜひ参加してみてほしいと願います。
和楽器の音色と遊ぼう」は、12月1日(土)にも千葉市若葉文化ホールで開かれます。胡弓のワークショップは5名の定員がいっぱいになったようですが、「ペアでチャレンジ!お箏でリレー」はまだ間に合うかもしれません。こちらに問い合わせてみてください。→H24年度邦楽地域活性化事業「邦楽ワークショップ」

(Y)