じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

全国邦楽合奏フェスティバル

「第2回全国邦楽合奏フェスティバル」が2月1日(土)と2日(日)の2日間にわたって東京都の三鷹市公会堂で開催されました(→http://concert.jtcf.jp/727)。

主催する特定非営利活動法人 全国邦楽合奏協会によれば、「アマチュア・プロ・地域・流派を越えた市民参加型の邦楽フェスティバルです。邦楽合奏の楽しさを広く国内外に発信するとともに、一堂に会することにより交流・相互理解を深めるものです」ということ。
全国からの参加団体による演奏会、講習会、ワークショップ、新しい邦楽合奏曲の紹介、和楽器体験、和楽器制作展示など、盛りだくさんの内容です。
そもそも全国邦楽合奏協会は、理事長の藤本玲さんによれば次のような趣旨で立ち上げられたものです。(全国邦楽合奏協会のサイトから)

現代邦楽合奏が生まれ約半世紀がたち、現在全国ではたくさんのプロ・アマチュアが合奏を楽しむようになりました。また、2002年には学校教育に邦楽が取り入れられ、邦楽普及の明るいきざしが見え、邦楽関係者一同よろこびと期待に胸をはずませました。
 しかしながら、まだまだ社会全体から見ると特殊な愛好者の音楽の域を脱する事ができません。あと一歩の踏み出しが必要と思われます。
そこで現在、全国各地で邦楽合奏を楽しんでいる合奏団・グループ・個人それぞれが連携し、点から面へと広がり、より効果的多面的な活動する事が大事であると考えます。 

藤本さんは、学校邦楽指導に力を注いできましたが、1998年学校邦楽部活動卒業生の受け皿として地元に徳島邦楽集団を立ち上げました。いつの日か野球やサッカーのように誰でもが邦楽合奏を身近に感じ、日常生活の中に溶け込んだ音楽になる事を夢見て活動しているということです。
1日(土)に行ってきました。ミニコンサート、ワークショップ、楽器製作実演、クラフト(竹笛、紅木)、楽譜・CDの展示販売、尺八の吹き比べなど、さまざまなコーナーがありました。牧野由多可さんの自筆譜を見せてもらいました。美しいスコア譜です。


16時半からの「音のカタログ+(プラス)〜新作合奏曲を中心に〜」を公会堂内の光のホールで聴きました。邦楽器を扱う洋楽出身の作曲家グループ〈邦楽2010〉の作品のコンサートです。

全6曲のうち4曲は、「高校生のための箏合奏曲」創造プロジェクトで作られた作品で、これが初演でした。演奏家と出版社がタッグを組んで実現したそうで、箏以外(三味線、尺八)の合奏を含む他の2曲とともに、この日、楽譜がマザーアースから刊行され、ロビーで販売されていました。
邦楽をさかんにするために、合奏曲を豊富にする、それも高校生が合奏できる曲をという発想はすばらしいと思います。演奏にも参加した山田流箏曲の下野戸亜弓さん、生田流箏曲の立道明美さん、福原佐和子さんは、「高校生のための箏合奏曲」の制作段階から関わり、実際に演奏を重ね、さまざまな面から検証とアドバイスをして完成したということです。
演奏する人だけでなく、曲を作る人、楽器を作る人も一緒に盛り上げる「邦楽ざんまい」のフェスティバル、第3回は来年、2015年7月25日(土)と26日(日)に石川県金沢市で開催される予定です。
全国邦楽合奏協会(→http://www.zensokyo.org/index.html)のサイトは、お役立ち情報の「楽曲検索サイト」や「コンサート会場検索サイト」など、プロもアマチュアも活用できそうです。それぞれが苦労して得た情報を、流派や地域を越えて提供し、共有できることは本当にありがたいことだと思います。こちらもぜひご覧ください。

(Y)