じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

落語「志ん輔の会」観賞

 先日15日(木)国立演芸場で行われた落語「志ん輔の会」に行って参りました。今回はそのご報告を。

 この日の演者は、「古今亭半輔」「金原亭馬治」「ホンキートンク」、そして「古今亭志ん輔」。
 古今亭志ん輔師匠は、1982年から17 年間に渡って、NHKおかあさんといっしょ」にレギュラー出演し、故・古今亭志ん朝師匠の芸の継承者でもあります。
この日のメインは、そんな古今亭志ん輔師匠による三遊亭圓朝作「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」。全段連続口演の其の二で、「豊志賀の死」の段のお噺。

◆「真景累ヶ淵」其の一のあらすじ 〜「志ん輔の会」パンフより〜
 按摩で金貸しの皆川宗悦はお志賀、お園の二人の娘と暮らしていた。ある日宗悦は旗本の深見新左衛門の屋敷へ金を取り立てに行き、酒に酔った新左衛門に切り殺されてしまう。後日、宗悦の亡霊のため新左衛門は妻を殺し、自身も見張りのお役の不手際から槍で突き殺され、お家は改易となる。深見家の長男新五郎はその直前に家を飛び出してしまい、次男新吉は門番の勘蔵が育てることとなった。墓場で腹を切ろうとしていた新五郎は通りがかった質屋下総屋の主人に諭され、下総屋で働き始める。そこで宗悦の娘と知らずにお園と知り合い、言い寄って押し倒す。ところが、押切(藁などを切る包丁)があったためお園は絶命してしまう。新五郎は驚くが、毒食らわば皿までと奉公先から百両を盗んで逃走した・・・。

← 小石川小日向服部坂 : 「真景累ヶ淵」の発端となる旗本・深見新左衛門の屋敷があった場所。旗本の服部氏に由来。南へ下る急坂である。
 圓朝師匠の代表作として知られる「真景累ヶ淵」の全段を演じることは大変珍しいことであり、全段を収録したCD作品も「八代目林家正蔵」と「桂歌丸」の2作品のみ、という大変貴重な演目。
お金を増やすことが楽しみな高利貸し・皆川宗悦が、旗本・深見新左衛門に切られたことが序章となり、新左衛門の息子の新五郎・新吉と、宗悦の娘の豊志賀・お園との複雑な因果関係へと繋がってゆく物語なのです。「怪談」でもあり、「人情噺」でもある本作は、とにかく奥が深い!
志ん輔師匠の話術に加えて、“笛”の音が効果的に使用され、場面場面で息を呑み、その情景が目に浮かぶ(私は、元来怖がりなので、実は浮かんで欲しくなかったが。。。)、あっという間に時間は経過。私は、志ん輔師匠初体験でしたが、動きにメリハリがあり、テンポ良く、また絶妙の間で、聴衆の耳と気持ちをグッと引き寄せる、見事な一席でありました。
 次回公演の日程は未定ですが、当然のように続きが聴きたい! 観たい! と思っている今日この頃です。その前に、志ん輔師匠の寄席を聴きに、観に、池袋演芸場に行かねば!!

(よっしゃん)