じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

国立劇場 2月文楽公演

東京の国立小劇場では、2月文楽公演(公式サイト)が上演中です。演目は第一部「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」、第二部「小鍛冶」「曲輪ぶんしょう」「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)」、第三部「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」。歌舞伎でもおなじみの演目です。

こうして文楽についてブログを書こうとしているわけですが、私自身、文楽鑑賞のタイミングを逃しており、あまり詳しくありません…ですので、文楽好きな方々からお聞きした情報をお知らせします。
よく考えてみると、文楽を見ることが出来る劇場というのは以外に少ないのですね。本拠地が「国立文楽劇場(大阪)」(義太夫節大阪弁で書かれているそうです!)。こちらは大阪ですので、埼玉県民の私としては、なかなか観劇が難しいです。それから、本日ご紹介の「国立劇場小劇場(東京)」。こちらは、公演時期が決まっていて、2月、5月、9月、12月の年4回です。ですから夏休みだから見に行こう!と思っても上演していないのです。あとは「内子座」という愛媛県にある劇場。また3月と10月で「地方公演」が行われるとのことです。
さて、国立劇場のプログラムには、「床本」(ゆかほん)がついています。床本には、太夫が語る義太夫節の詞章が掲載されており、こちらを読んでから鑑賞すると、内容が理解できるとのことです。

また劇場では、イヤホンガイドなどの貸し出しもありますので、利用してみると、その場面の解説を聞きながら見ることができるので、より一層わかりやすいです。また国立劇場では、12月に鑑賞教室を開催しているので、解説付きの公演が楽しめます。
今回の演目「小鍛冶」では、
『京の三条に住む小鍛冶宗近は、天皇より剣を作れとの宣旨を受けます。見事な剣を作るには、名人の宗近に劣らぬ力量で相鎚を打つ者が必要です。』
という解説がプログラムにありました。そこで「相鎚を打つ」という言葉の語源がわかったりします。刀や刃物を作る師匠と弟子が、交代で鎚を振りおろし、鉄を鍛える作業のことを「相鎚」というそうです。文楽公演では、人形が、義太夫三味線とお囃子が奏でる軽快な音楽に合わせて、相槌を打つシーンが楽しいです。鑑賞することによって、言葉の由来や、歴史なども学べます。
また別の演目「関取千両幟」では、義太夫三味線による、めずらしい「曲弾き」を見ることができます。鶴澤藤蔵さん(過去ブログ◆)と鶴澤清志郎さんが、三味線を弾きながら、いろいろな事をされるそうです。まだ観劇していないので聞き伝ですが、三味線の糸の間にバチを通したり、三味線を逆にしたり…、バチを飛ばしたり!?それなのに、お二人の三味線の音は途切れず、だそうです。3月20日(水・祝)には、御霊神社に於いて「鶴澤藤蔵 太棹の響」という演奏会を開催されるそうです。こちらでも、櫓太鼓曲弾きをなさるそうです。
そもそも文楽って…、という方には、こちらの書籍がおすすめです。

国立劇場で購入できる本(発行:独立行政法人日本芸術文化振興会)ですが、文楽に関してわかりやすく解説されています。例えば、
─なんでぶんらくっていうの?
「劇場を開いた人の名前が、知らん間に人形劇の名前になったんや」(劇場を開いた人=植村文楽軒。何代も続いた名前だそうです。)
といった具合です。漢字に、全部ひらがながふってありますので、わかりにくい専門用語も読めますよ!(笑)

(制作担当:うなぎ)