じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

今月のおすすめ本「宮城道雄藝談」

梅雨がやってきて、外出することがつい億劫になる日が続きます。
さりとてずっと家にいても退屈だし…。そんな時には、気分を変えて読書でもしてみようか という気になりますね。

6月といえば、6月25日は『現代邦楽の父』といわれる宮城道雄氏の命日でもあることから、今回は宮城道雄関連の本をご紹介させて頂きます。

「宮城道雄藝談 — 故 藤田俊一遺稿より」

この本は大正10年に創刊された雑誌「三曲」の主幹であり、宮城道雄とは40年間の交際があった藤田俊一氏の遺稿を基に書かれています。
宮城道雄の随筆の文学的評価の高さは言うまでもありませんが、随筆集とは違った角度の宮城道雄像を伝えたいと、雑誌「三曲」に掲載された大正11年からの宮城道雄の口述筆記や対談がまとめられています。

この本では、作曲や楽器、演奏に対する心構えなど、三曲専門誌ならではの内容が、丁寧にしかも読みやすく書かれています。
そして、今後の日本の音楽についての想いが熱く語られています。

この時代の現代邦楽に尽力した方たちの熱い思いとなみなみならぬ努力があって、今の三曲の発展につながっている…思わず胸が熱くなります。
箏曲、三曲愛好者以外にも広く読んで頂きたい本です。
こちらから購入できるようです
http://hj-how.com/SHOP/5385.html

藤田俊一 
1883−1974 大正-昭和時代の邦楽評論家。初代川瀬順輔氏に琴古流尺八を学び、鈴朗と号して尺八を指導。大正10年に雑誌「三曲」(のち「日本音楽」と改題)を創刊して以後邦楽評論家として活動を続け、日本音楽の振興、三曲協会の設立などに尽力。昭和37年に紫綬褒章受賞。著作に「尺八通解」など。

梅雨の日の静かなひととき、時々雨の音に耳を傾けながらの読書をお楽しみ下さいませ。


(まりちょ)