じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

市丸さん没後20年と「小唄まつり」

今年も恒例の「ビクター名流小唄まつり」が、東京・日本橋三越劇場で開催されました。第57回を迎えた「小唄まつり」ですが、2017年7月11日(火)と12日(水)の2日間にわたり、11時の開演から夕方まで、合わせて150番、のべ230名が出演して、はなやかに小唄が披露されました。

今年は小唄の名手でもあったビクター専属芸術家、市丸さんの没後20年にあたるということで、記念品として若き日の市丸さんのポストカードを用意しました。絵柄は、熊本県八代市にあるメルシャン株式会社の工場で今年発見された、1枚の古いポスターからとったものです。昭和12年頃のものと思われ、美貌と美声のレコード歌手として小唄や端唄のほか、流行歌でも一世を風靡した市丸さんの人気のほどがしのばれます。三越劇場のロビーには、メルシャン株式会社がデジタル技術で修復し、復刻したポスターも飾られました。
出演者のなかには、生前の市丸さんを知っているという先生方もいて、ポストカードをお渡しすると、市丸さんと舞台や稽古場でご一緒したときのエピソードなど、それぞれなつかしそうに語ってくださいました。あらためて、流派を超えた憧れの大スターだったことがわかりました。

(今年のプログラム)
「小唄まつり」の第一部では、小唄奨励賞として市丸さんにちなんだ「市丸賞」を設け、優秀な演奏(唄)をされた方を顕彰しています。今年は11日のほうは該当者なし、12日は竹枝はる恵さんが受賞しました。結果は次のとおりです。

7月11日
ビクター小唄奨励賞 市丸賞・・・該当者なし
ビクター小唄奨励賞 優秀賞・・・春日とよ艶子禄(かすが とよつやころく) 曲目「勢い肌」(糸:春日とよ艶子花)
7月12日 
ビクター小唄奨励賞 市丸賞・・・竹枝はる恵(ちくし はるえ) 曲目「梅川忠兵衛」(糸:竹枝はる歌)
ビクター小唄奨励賞 優秀賞・・・長生恭帆(ちょうせい きょうほ) 曲目「吉三節分」(糸:長生松代)

来年は、歴史ある「ビクター名流小唄まつり」も58回目。2018年7月10日(火)と11日(水)に開催の予定です。

(Y)