じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

奇跡の優秀録音盤

 
『STEREO』、『オーディオアクセサリー』、『季刊AUDIO BASIC』、『ステレオサウンド』・・・近年、ほとんどのオーディオ専門誌は月刊から季刊に移行しています。オーディオ・ファンの絶対数が減少した、昔ほど広告費が集まらない、等々、そこには色々な理由があるのでしょうが、今の時代、圧縮音源を持ち歩いてどこでも音楽を聴けるようになって、それで全然構わないという人もいる反面、逆に、少しでも良い音で音楽再生を楽しみたいという気持ちをもった人は増えてきているようにも思います。高音質のSHM-CDの売上げが好調であることや、さらに音がよいXRCDは価格の高さにも関わらず、多くの音楽愛好家から歓迎されています。

オーディオ・ファンは鋭い耳をもつだけでなく、音楽そのものに深い関心を注ぐ人が多いのが特徴ですが、そうした傾向を後押しした先人がオーディオ評論の長岡鉄男さん(1926−2000)でした。長岡さんがレコード評で取り上げるものは、古代ギリシャ、中世・ルネサンスバロック以降のクラシック、現代音楽、純邦楽までとじつに幅広く、その批評は、単に「サウンド」面だけでなく、音楽作品の成立背景までを読み解き、レコードの音がその作品にとってどうなのか、という観点から行なわれていたのが特徴でした。『長岡鉄男の外盤A級セレクション』シリーズを愛読して、そこに登場する珍しいアルバムを集めた人も数多くいらっしゃったのではないでしょうか。

その長岡鉄男さんが、「まれに見る優秀録音、完ぺきなサラウンド、驚異的に広大な3次元的音場、再生は難しい」と大絶賛していた超優秀録音盤が、『柴田南雄/合唱のためのシアター・ピース』です。当財団では、昨年秋、このアルバムをSHM-CDで増補解説版として復刻再発しております(詳しくは2010年12月1日の当ブログをご参照ください→ 「柴田南雄のシアター・ピースCD」)。

今月発売の『季刊AUDIO BASIC(オーディオ・ベーシック)』の「高音質ディスク聴きまくり」のコーナーで、オーディオ評論家の高崎素行さんが本作をさっそく取り上げて下さっています。
(画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます)

高崎:「まさに奇跡の優秀録音盤だね。」


柴田南雄/合唱のためのシアター・ピース (2枚組)
SHM-CD: VZCC-91〜92
価格3,500円+税
発売日: 2010年11月24日

<ライナーノーツ>(全92ページ)
武田明倫 「柴田南雄 合唱のためのシアター・ピース」
柴田南雄 「作品について」、「今日世界の音楽創造における東西の遭遇(抄)」、「浅間山
安芸光男 「柴田南雄の位置――〈作品〉概念の転換へ向けて」
上浪渡 「柴田さん」
武田明倫、舩山隆、佐野光司:座談会・柴田南雄を語る
田中信昭 「柴田南雄のフィールドワーク」
佐藤信 「不思議なオジサン」
●シアター・ピース作品表
●全詞章掲載


当財団から発売中のSHM-CDの一覧はこちらをご覧ください。→

(堀内)