じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

進化を続ける藤井昭子

6/6月曜、東京・本郷の求道会館(東京都指定有形文化財)にて「第54回 藤井昭子 地歌ライブ 宮城道雄〜現代箏曲の天才が描いた古典の世界」を聴きました。出演:藤井昭子、塚本徳、高畠一郎、田辺頌山のみなさん、演奏曲目は「本年も昨年に引き続きまして、地歌の歴史に名を残す検校・勾当・作曲家の作品を毎回3曲選び演奏させて頂きます(主催者より)」ということで「春の夜」「吼噦」「尾上の松」の三曲でした。

第54回 藤井昭子 地歌ライブ 宮城道雄〜現代箏曲の天才が描いた古典の世界
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2001年6月にスタートして今年で11年目に入り、延期になった東日本大震災の翌月公演を除いて年回五回をコンスタントにこなし、今回が54回目というのもスゴイですよね。スタート時の新宿の会場がライブハウスのようにお客様と演奏者の位置が近く、それで地歌「ライブ」と名付けたそうです。毎回拝見しているわけではないのですが、この日はいよいよ、声=歌の存在感、演奏者間のコンビネーション、そしてこの音楽の持つ独特のタイム感・呼吸などが見事にバランスしてきていて、進化を続けていることを実感。今後のライブにもますます期待ができると確信しました。
藤井さんに伺ったところ今回一番大変だったのが「吼噦」(こんかい、と読む。狐の鳴き声を模したもの)だったそうです。「尾上の松」に出演された高畠さんのご感想はリハーサルでは早すぎたテンポが本番では落ち着いて非常にうまくいったとのこと。藤井さんは5/31紀尾井ホールでのチャリティ公演で演奏した「残月」についてもテンポについてお話されていました。皆さん兎に角とてもテンポを大事に演奏されていることが伺えます。この日は梅雨の晴れ間で日中気温が上がり夜になってもまだ暑かったくらいだったのですが、田辺さんが苦労されたのはその気温のせいで尺八のピッチが上がってしまうことだったそうです。
今年の今後の地歌ライブの予定は、8/8、11/11(震災で延期になった第53回をこの日に行います)、12/12とご本人もおっしゃっていましたが、とても覚えやすい日程となっています。是非ご来場されてご覧になることをお勧めする次第です。場所はすべて同じ、求道会館です。
藤井昭子第53回地歌Live at 求道会館 - じゃぽブログ

(J)

 藤井昭子