じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「能楽師 伝承」

ツイッター、japojpのツイート(6月21日のログです→)から、6月25日(土)より東京のシアター・イメージフォーラムで公開中の能楽師 伝承」(田中千世子監督)を観てきました。

昨年の東京国際映画祭で上映されたもので、2003年公開の「能楽師(こちらはDVDが出ているのでこれを機会に拝見します)に続く作品。昨年世を去った観世流能楽師・関根祥人(よしと)師、その父・関根祥六(しょうろく)師に加え、今回は子方を卒業した息子・関根祥丸(よしまる)さんの初面(はつおもて)のシーン、さらに三代で舞う稽古中の「石橋(しゃっきょう)」。三代で舞う型がないため、親と子に加え、祖父は神体のイメージで登場することにしたというお話がありました。本番の舞台のみならず、緊張感あふれる稽古の様子や穏やかな素顔、さらに謡蹟の道成寺〜熊野の風景も挿入されています。作品中の台詞「熊野は行くところじゃないんです、呼ばれるところなんですよ」には、少し自分にも思い当たるところがあり、昨年2月初頭にふとしたきっかけから熊野三社を巡った記憶が蘇りました。この映画の予告篇が公式Webサイトで観ることができます

映画では、関根祥人さんを囲み、俳優の佐野史郎さん、日本伝統文化振興財団賞の選考委員として先ごろ財団賞の選考経緯をお話されていた田中英機さん(実践女子大学教授)による鼎談を収録。さらに映画のラストを飾った「松風」の公演――そのクレジットに先ごろ第15回日本伝統文化振興財団賞を受賞された狂言方 大蔵流、山本泰太郎さんのお名前があり、先日のチャリティコンサートでの勇姿が蘇ってきました(その模様をこちらのページでレポートしています)。

それにしても、映像で技芸が一般に広く公開されることは意義深いことだと思います。このたび財団賞を受賞された山本泰太郎さん、その副賞となるDVDのリリースも楽しみです。

(じゃぽ音っと編集部T)