じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東京[無形文化]祭より「躍る」―舞の競演

第一回東京[無形文化]祭、いよいよ開催が間近になりました。
公式サイト、mukeibunka.comも7月に入り、トップページや各公演ページで最新情報を更新していますので、以前ご覧になった方も初めての方も、いま一度ご覧いただければと思います。とくに各公演ページの出演者プロフィールを大幅に追加、また公演の詳細情報や演目も以前よりだいぶ充実してきました(チケット購入へのご案内として、チケットぴあ、イープラスへのリンクが各公演ページ右上にあり、クリックするとWebでの購入ページへ飛べますのでぜひご利用ください)。今日はそのなかの公演から、ひとつご紹介。
「躍る」―舞の競演 Feast of Dance
このなかの演目「三番三(さんばそう)」、こちらはまず昨年5月、第15回日本伝統文化振興財団賞とあわせて行なわれた東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」(下のYoutubeダイジェスト版)をご覧ください。

このときと同じく、三番三で能楽師狂言方大蔵流の山本泰太郎さんがご出演されます。「三番三」は「三番叟」とも表記されることがあり、以前、野村万作師による「三番叟」を拝見したことを当ブログでご紹介していました[無形文化]遺産。力強く大地を踏みしめ、平穏と豊穣への祈念がこもった特別な芸能です。
次に「石橋(しゃっきょう)」。上のダイジェスト映像のラストに収録されている一調「百萬」で、心に沁み入る素晴らしい謡が拝聴できる、第11回財団賞を受賞された十世 片山九郎右衛門さん(受賞時は片山清司さん)の、受賞されたときにご披露いただいた舞囃子「石橋」がいまだ忘れられません。詳しくはこちらのじゃぽ音っと公演レポートをご覧ください。このとき、ご執筆いただいた笹井邦平さんの「百獣の王獅子にも負けぬ清司師の気高き勇姿に圧倒された」というお話は、間違いありません。自分もまったく同じように感じていました。今回ご出演されるシテ方宝生流能楽師の辰巳満次郎さんの公式HPをご紹介させていただきますhttp://manjiro-nohgaku.com/。東京[無形文化]祭ご出演の情報を掲載していただいており、シテの辰巳満次郎さんをはじめとする「石橋」はじつに楽しみです。
最後に伶楽舎(れいがくしゃ)の舞楽「胡飲酒 序、破(こんじゅ じょ、は)」
雅楽の合奏研究を目的に昭和60(1985)年に発足した雅楽演奏グループ。音楽監督・芝祐靖」とプロフィールにありますが、最近では当財団からCD作品を発表しています。
「芝祐靖の音楽 復元正倉院楽器のための 敦煌琵琶譜による音楽」
「芝祐靖の音楽 古典雅楽様式による雅楽組曲「呼韓邪單于」―王昭君悲話―」
この「胡飲酒(こんじゅ)」は、胡国(古代、中国北方の異民族の国といわれる)の人が酒に酔ってこの曲を奏したさまを舞にしたと伝わる舞楽。これが天平年間に日本に伝わり、今に残されてきたといわれています。こういったテーマの公演でない限り、この演目を目にする機会はなかなかないことでしょう!
「力強い民衆の舞から宮廷の優雅な舞までを披露」とあるこの公演、単なる音楽コンサートという枠にとどまらない、日本の[無形文化]本来の力が十二分に感じられそうな、今から楽しみにしている公演のひとつです。24日(火)19:00、紀尾井ホールにて開演。お見逃しなく!

(じゃぽ音っと編集部T)