じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

また五行思想について少し

先日五行思想について少しまとめたのですが、これは日本の音楽の場合、「調子」の各調に対応するそうです。
以下のようになります。。。。
aは方位、季節、色。
bは古文書にある演奏方だそうです。


1. 壱越調 (いちこつちょう)
a) 中心・土用・黄
b)「水晶を板敷きに打ちこぼす」


2. 双調 (そうじょう)
a) 東・春・青
b)「鐡樹の黄無垢良、花の散ラケタルがごとし」


3. 黄鐘調 (おうしきちょう)
a) 南・夏・赤
b)「山の河水が石の間を通る如く吹く可なり」


4. 平調 (ひょうじょう)
a) 西・秋・白
b)「鉄の木に銀の枝金の葉のある如く吹く可なり」


5. 盤渉調 (ばんしきちょう)
a) 北・冬・黒
b)「青柳の春風に靡けるがごとし」


6. 太食調 (たいしきちょう) 十句 E音 笙ー管:黒檀製
a) 平調に準ず 
b)「槙屋に玉霰のゴウゴウと雨のわたるが如く吹く可きなり」


「bの古文書」とは、室町-戦国時代の雅楽家、豊原統秋【とよはら の むねあき】による著書『体源抄』のことで、『教訓抄』『楽家録』と並び、三大楽書の一つとされています。
調子のイメージをものごとにおきかえて例えるとは、面白いですね…

鎌倉時代興福寺雅楽家、狛近真【こま の ちかざね】によって撰述された『教訓抄』によると、古代中国に84あった調のうち12の調子が日本へ伝わり、やがて六調子に整理されたそうです。「呂旋法(りょせんぽう)」と「律旋法(りつせんぽう)」は中国の伝統的な音階ですが、五行思想に対応すると、呂旋法が「1.壱越調、2.双調」の二つ、律旋法が「3.黄鐘調、4.平調、5.盤渉調」の三つとなります。後に陰陽思想と融合して「陰陽五行思想」となったので、陰と陽のバランスをとるために呂旋法の「6.太食調」が先の五音に追加されて六調子になったようです。

(J)