じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

伶楽舎 第25回公演「散手と貴徳」


来週の木曜日に伶楽舎の雅楽公演が開催されます。伶楽舎の公演では毎回とても刺激的なプログラムで雅楽の豊かな世界が押し広げられ、過去からの型の伝承に留まらない、それを超えた生き生きとした息吹を感じさせる音楽を聴かせてくれます。

今回のテーマは、番舞(つがいまい)である「散手(さんじゅ)」と「貴徳(きとく)」。これを、管絃と舞楽の両方で演じるというじつに豪華なプログラムです。

伶楽舎雅楽コンサートno.25
 散手と貴徳 〜管絃で聴く、番舞を観る〜

日時:2012年5月31日(木) 午後7時開演(開場6時半)
場所:四谷区民ホール
入場料:前売・予約 2,500円 当日 3,000円
曲目:
第一部 管絃で聴く
 管絃
  散手  序、破(抜粋)
  貴徳  破、急
第二部 番舞を観る
 舞楽
  散手  序、破
  貴徳  破、急
音楽監督:芝祐靖/企画・主催:伶楽舎
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人花王芸術・科学財団、公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
チケット予約・問い合わせ:伶楽舎(FAX 03-5269-2011)、東京コンサーツ(電話 03-3226-9755)
http://reigakusha.com/japan/index.html


以下、主催者による本公演のご案内の文章を紹介させていただきます。

今回の雅楽コンサートは、古典曲より「散手と貴徳」の二曲を取り上げます。この二曲は「番舞」として、古来セットで演じられてきた舞ですが、今回は、前半は絃楽器を入れて、演奏のみの管絃で、後半は舞楽で、と、この二曲を、耳と目で十二分に楽しんで頂く贅沢な企画です。
「番舞」とは、雅楽の世界で、舞楽を上演する際に、左舞(さまい・中国系の舞)と右舞(うまい・朝鮮半島系の舞)の中から舞振りや持ち物など、内容的に似通ったものを組み合わせて一セットとして上演する形で、「散手と貴徳」は代表的な番舞の一つです。鼻高面に鳥甲(とりかぶと)に豪華な裲襠(りょうとう)装束、太刀を佩(は)き、手にした鉾を大きく廻し、四方に突き、勇壮に舞う舞振りが共通しており、それぞれにお楽しみ頂けるかと存じます。
また、この二曲は今日では管絃で演奏されることはないのですが、今回は特別にご鑑賞頂きます。「散手」には現行の絃楽器の楽譜がないので古譜から復元し、序と破の楽章を抜粋してお聴き頂きます。また、「貴徳」の方は、絃楽器の楽譜はあるものの、今日では高麗楽には絃楽器を用いないので、これを入れての演奏はどのような響きになりますか、私達も初めての演奏です。管絃での散手と貴徳、ともに大変珍しい演奏となります。
散手と貴徳、稀有な管絃の演奏と、豪華な番舞、ぜひご覧頂きたく存じます。

* 裲襠装束(りょうとうしょうぞく)とは、古代の武官が着用した衣服の一種。


 


伶楽舎の最新CDは、当財団から発行している芝祐靖さんの2枚の作品集です。
左側のジャケットが、『呼韓邪單于(こかんやぜんう)』(VZCG-748)。右側のジャケットが、『復元正倉院楽器のための敦煌琵琶譜による音楽』(VZCG-749)。各作品の詳しい内容は、上の作品名のリンク先、当財団ホームページ「じゃぽ音っと」でご紹介しております。


また今年2月には、芝祐靖さんもその一員だった伝説の雅楽団体「雅楽紫絃会」の名盤『舞楽 春鶯囀一具(ぶがく しゅんのうでんいちぐ)』(VZCG-761)を初CD化しています。(関連ブログ記事→

そのほか、芝祐靖さんが参加されている当財団発行の作品一覧はこちらをご覧下さい。→(「芝祐靖」の検索結果

CD「芝祐靖の音楽」2枚の録音時のブログ記事はこちらです。→ 「雅楽・伶楽舎のレコーディング」(2011年02月03日)

(堀内)