じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

鈴木正夫さん 新曲「風に立つ-前田利家-」

民謡界の第一線で活躍中の鈴木正夫さんの新曲が発売されました。今作は民謡ではなく歌謡曲で、前田利家の生き様を描いた「風に立つ-前田利家」と、東日本大震災を受け復興への強い祈りを込めた「希望(ゆめ)明かり」のカップリングです。2曲とも民族芸能文化連盟(民文連)の理事長であられる新倉武氏による作曲で、5月23日に全国発売となりました。

豊臣秀吉の盟友で加賀百万石の祖となった前田利家は、もともと織田信長の小姓で、数え年15歳で仕官しました。前田利家は槍の名人として名高く、合戦では先頭にたって戦い数々の手柄を立てました。前田利家を支えよき理解者の妻まつと共に、どんな試練にも耐え抜き、命をかけて織田信長を守り続けました。その忠義の道を描いたのが、この「風に立つ-前田利家-」です。どこまでも健気で真っ直ぐな心は、いつの時代も美しいと感じました。


「風に立つ−前田利家-」(1番の歌詞)
武士が裏切る 戦国の 
どこに忠誠(まこと)の 道がある
槍の又左(またざ)と恐れられ 
昨日の友も 今日は敵
死んでたまるか 生きぬくぞ 
主君ひとすじ 武士の意地 

(作詞:岩田道之輔 作曲:新倉武 編曲:丸山雅仁)


そして、カップリング曲の「希望(ゆめ)明かり」。“希望”と書いて“ゆめ”と読みます。昨年3月11日の東日本大震災から数か月後、少しずつ暖かくなってきた頃、大きな被害を受けた地に一輪の黄色い花が咲いているのをテレビの画面で見ました。その凛とした姿に力強さを感じました。その黄色い花に”夢“と”希望“を重ね、その時の感動をそのままに、仙台市在住の作詞家で震災を経験した堀あかねさんが素晴らし歌詞に仕上げてくださいました。その歌を、同じく福島県相馬で震災を経験した鈴木正夫さんが歌うということで、さまざまな思いが詰まった作品となりました。


「希望(ゆめ)明かり」(2番の歌詞)
風揺れて 春の香模様
思い出届ける 通りゃんせ
便りも嬉しや 水仙
可憐にも あゝ 凛として…
陰に日向に 咲きますと
深き想いの 希望(ゆめ)明かり

(作詞:堀あかね 作曲:新倉武 編曲:丸山雅仁)

そして、この2曲を舞踊歌謡曲としてお使いいただけるよう、CDとカセットテープの中に写真入りで振付解説が封入されています。「風に立つ-前田利家-」には舞踊団「若竹」の野本智子先生が力強く堂々とした振り付けを、そして「希望(ゆめ)明かり」には同じく舞踊団「若竹」の北野明代先生が明日に向かって強く生き抜く思いを表現した振り付けをして下さいました。2曲とも素晴らしい振り付けです。全国の舞踊愛好家にお勧めします。歌と踊りの融合、それぞれが引き立てあう“芸”の奥深さをお楽しみいただければと思います。

(K)