じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

伝統工芸 青山スクエア: 工芸品製作体験フェア

私が時々行くところに、「伝統工芸 青山スクエア」というお店があります。全国各地からの伝統工芸品がディスプレイされておりまして種類がとても多い、その上店内が広く、何より常設というのがとてもいいです。

伝統工芸 青山スクエアHP:日本各地の伝統工芸のデータベースもあります

3月2週目の週末、お店でたまたま行われていた「工芸品製作体験フェア」を見学させていただきました。フェアの期間中、体験参加を募集していたのは、大阪欄間・大阪唐木指物・大阪泉州桐箪笥・東京手描友禅・江戸切子

大阪欄間・唐木指物のコーナーで工芸協同組合の方にお話しを伺いました。思えば、最近は一戸建てであっても純和風の住宅自体が少なくて、特に都心で見かけるのは洋風の家ばかり。まして欄間があって、桐箪笥と唐木指物が置いてあるお宅はとても珍しい。高価ですから、多くの人の手に届かないのは当然ですが、こうした物の良さが忘れられているという感覚は拭えません。需要が減って技術が廃れてしまっては、元に戻すのは難しいもの。職人の方々も継承者の高齢化、市場の縮小、安い輸入品の増加といった逆風にさらされていらっしゃるとのことでした。

組合の方が、こんな話もしてくださいました。家が火事になった方がいたそうですが、桐箪笥だけは、火にも消防車からの水にも平気で、箪笥の外は黒焦げ・びしょ濡れ、でも中身は無事だったとか。桐箪笥の防湿性については知られているところですが、難燃性についても長けているのですね。詳しくは下に添付のパンフレットを是非ごらんください。横道にそれますが、桐箪笥の解説を書かれている小泉和子さんは、昔ご家族で住んでおられた住居を博物館として一般公開していらっしゃいます。その名も「昭和のくらし博物館」東急多摩川線下丸子駅から歩いて10分くらいでしょうか、周り一帯すっかり住宅地の中にあります。とても、おススメです。


さて製作体験コーナーではこんな風景が・・・。欄間職人さんの指導の下、広島カープの赤い野球帽をかぶったお子さんが木彫りのコースター作り。出来上がって落ち着いた頃、職人の方がその子に質問。「なんで黒と黄色の帽子かぶらへんの?」。ユーモアを忘れない素敵な大阪職人さんたちでした。

(弘)