じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

Fethno 小泉文夫没後30年記念企画

エスノ」「エスニック」……いまでこそ、音楽だけでなく、ファッション、料理など、私たちの生活の中のいろいろなシーンで用いられるこの言葉。西洋文明とは別の魅力溢れる文化が、世界中にあることを、私たちは知ることができ、触れることができるようになりました。この「いま」への道を切り拓いた、ひとりの人物が、小泉文夫です。
小泉文夫先生は、まだオープンリールの時代から、録音機を携えて世界中の様々な土地を訪ね、そこで暮らす人々のなかにどんな音楽があり、人々が音楽とどんなふうに関わっているかを具さに調査・記録して、私たちの前に提示しました。
56歳で惜しまれつつこの世を去って30年の今年、現役の東京藝術大学の学生さんたちが実行委員会を立ち上げ、世界的に活躍する音楽家8組を招いて、トークと音楽のイベントを開催します。


小泉文夫没後30年記念企画
Fethno
心と耳は、世界にあった。
第1日 12月15日(日)18:00開場/18:30開演
 ナビゲーター:華恵
 アドバイザー:北中正和
 出演者:BALKAN(ブルガリア音楽)、Le Club Bachraf(アラブ音楽)、巻上公一(トゥバ音楽)、慶九/北川修一(イラン音楽)
第2日 12月22日(日)18:00開場/18:30開演
 ナビゲーター:華恵
 アドバイザー:サラーム海上
 出演者:豊田耕三(アイリッシュ音楽)、ちゃるぱーさ(アフガニスタン音楽)、OKI(アイヌ音楽)、寺原太郎(北インド音楽)
[会場] CAY
 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」B1出口目の前 SPIRAL地下1階
 アクセスはこちらをご覧ください
[入場料] 各日とも 一般=4,000円/学生=3,000円(当日のみ) 全席自由席
[前売券購入方法] こちらのサイトからどうぞ!
[お問合せ] TEAM Fethno 070-5667-6946fethnogmail.comに変えて)

企画にあたってのアピール文には、このように述べられています。

小泉文夫という「人」そして先生の「アプローチ」を再発見し、後世に伝えていくことが必要であると私共は考えました。小泉先生は私たちに世界中の「本物」を見せてくださいました。そして、その「本物」に感化された人々は少なくないはずです。勿論私共もその内の何人かであります。そこで先生のアプローチを「小泉文夫を知らない世代」が再発見しようと考えております。
そうすることで、民族音楽学界の今後の発展への寄与や、民族音楽を志す若手アーティストの育成に繋がればと望んでおります。また、私共は今企画を通して音楽だけでなく、その文化に対して興味を持っていただくことも意図しております。
単なる演奏会には留まらず、世界地図を眺めながらのレクチャーや各民族にちなんだお料理を用意し観客は、心と耳が、世界を旅する感覚を抱きます。 小泉文夫をアイコンとして、若者の代弁者であるナビゲーター、アドバイザー、そして最前線で活躍する演奏者達によって、民族音楽へのアプローチの道筋を明確にし、観客の「掘り下げる」という行為の、初めの一歩となるプロジェクト、それが「Fethno」です。


小泉先生が拓いた道を歩み、さらに先へ進んでいこうとする若い人たちの真摯な眼差しと熱いパワーを、どうぞ受け留めてください。
とにもかくにも理屈抜きに、このイベントはぜったい面白いです!
だって、小泉先生のモットーは
遊びと勉強のケジメをつけないこと
でしたから……


小泉文夫先生ご自身の著書は、Fethno公式サイトに紹介されています()ので、ここでは、小泉文夫先生について語られている2冊をご紹介しましょう(加古三枝子さんは夫人、岡田真紀さんは教え子・研究者です)。


人生を駆けぬけて――回想の小泉文夫 加古三枝子 著 音楽之友社 刊 1985年



世界を聴いた男 小泉文夫民族音楽 岡田真紀 著 平凡社 刊 1995年


小泉文夫先生の、世界の音楽への旅の出発点は、日本の伝統音楽であり、音階構造を解明した著書「日本伝統音楽の研究1」(音楽之友社刊 1958年)、リズム構造について解明した「日本伝統音楽の研究2」(音楽之友社1984年/没後、小島美子・小柴はるみ両氏により編集・出版)が、日本伝統音楽研究に多大な力を与えたことも、書き添えておきます。


Fethno公式サイト
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(YuriK)