じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

藤井昭子 地歌ライブ2014スタート

先日3月23日(日)、東京・本郷の求道会館にて藤井昭子さんの第67回地歌ライブが開催されました。当初2月8日でしたが、記録的な大雪のため延期となり、そのお知らせはtwitter@japojpや当財団の公演情報ページでもお伝えしていました。今回のプログラムは「初春を寿ぐ地歌三題」。新年を寿(ことほ)ぎ、長寿を願うご祝儀曲三曲が演奏されました。
「鶴の声」 三弦:藤井昭子

「若菜」 三弦:安藤啓子 箏:藤井昭子

「尾上の松」 三弦:藤井昭子 箏:日原花維 尺八:リンズィ・ドゥガン

手ほどき曲としても知られ、おめでたい言葉で綴られる「鶴の声」から始まります。続く「若菜」では、声を引き延ばして歌うときの母音を「産字(うみじ)」というそうですが、その「産字」を生かした独特の節に耳が引き寄せられました。終曲は「尾上の松」。三弦替手との合奏ではなく、今回は箏の巨匠、宮城道雄が箏の手を付けて以来普及したといわれる箏との合奏。歌詞「太平楽の調べかな」に続く雅楽風の前の手事と「手拍子揃へていきざよや」に続く「神楽拍子」ともいわれる後の手事。それぞれの趣きの違いといった聴きどころがあって名曲と呼ばれるにふさわしく、聴いていてとても楽しい心持ちになりました。
初参加となったオーストラリアご出身の若手尺八演奏家、リンズィ・ドゥガンさんをはじめ、出演者の生の声が聞けるというのも、舞台と客席が近い地歌ライブならでは。
さて今年2014年「藤井昭子 地歌ライブ」今後の予定です。各公演タイトルをクリックしますと内容の詳細がご覧いただけます。
2014年4月12日(土)第68回 《八重崎検校》〜名手の箏手付を聴く
2014年6月21日(土)第69回 古曲を訪ねる
2014年8月17日(日)第70回(記念公演)《獅子物》〜手事物の華やかな系譜 ※よみうり大手町ホール14:00開演
2014年12月6日(土)第71回 地歌に描かれた源氏物語の世界

第70回記念公演以外は、本郷の求道会館にて土曜日14:30開演。従来の平日夜の公演から土曜午後スタートの公演シリーズとなりました。
本郷といえば「本郷も かねやすまでは 江戸のうち」という川柳が知られますが、風情のある界隈を散策がてら、会場へ足をお運びになってみてはいかがでしょうか?
(「かねやす」についての文京区のホームページはこちら

(じゃぽマガジン編集 Tas)