じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

2013年の地歌ライブ、スタート

本日は本郷にある東京都指定有形文化財の求道会館へ、藤井昭子さん今年最初の地歌ライブを拝見しました。

この写真にありますように、求道会館はユニークな和洋折衷といえばいいのか、外観もおしゃれですが、内部はお寺と教会の良さが大胆に融合したとても雰囲気のよい空間で、2階席からもご覧になることができます。
これまでに62回を数え、毎回テーマがあり、地歌箏曲の古典の世界が身近に感じることのできる、質の高いシリーズ。今回は「《継橋検校》〜地歌の開拓者が描いた古格の調べ」と題され、もっとも初期の地歌手事物を拓いたといわれる継橋検校の「難波獅子」「八重霞」、またほぼ同じ頃に作られたという「八千代獅子」が取り上げられていました。

「難波獅子」 三弦(本手):藤井昭子 三弦(替手):滝澤郁子

「八重霞」 三弦:藤井昭子 箏:日原花維

「八千代獅子」 三弦:藤井昭子 箏:滝澤郁子 胡弓:高橋翆秋

それから、この「地歌ライブ」で楽しみにしていることのひとつはその演奏の前後に和やかなトークが入り、お話を間近で拝聴できること。そんな和やかな雰囲気を写真に収めることができました。
 
今日の演目は手事物(歌にはさまれた長い間奏部分=手事に比重をおいた地歌箏曲の曲種)のルーツといえるもので「クラシックのバロック音楽にあたるようなもので、シンプルゆえの難しさと良さがある」というお話。たしかにいわゆる手事物でのスピードがあって華やかで精緻な印象とは違い、どれもゆったりとしていてシンプルながらも格調の高いものでした。また演奏後のトークで、賛助出演された滝澤郁子さんと高橋翆秋さんから「八千代獅子」について「いい曲です」との深い思いのこもったひと言がとても印象的でした。
さて、今年の「地歌ライブ」これからの予定です。
8月4日第65回の紀尾井小ホール以外は、求道会館19:00開演です。
2013年4月1日(月)第63回 明治新曲〜江戸から明治へ、時代を映す創作活動
2013年6月24日(月)第64回 菊岡検校〜流麗に花開いた京風手事物(4)
2013年8月4日(日)第65回 芝居歌物〜古曲に聴く地歌のこころ ※紀尾井小ホール14:00開演
2013年12月2日(月)第66回 端歌物〜地歌の原点を訪ねる

(じゃぽ音っと編集部T)