じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

三宅坂の梅

今日は東京、三宅坂国立劇場小劇場で「邦楽鑑賞会―三曲の会」がありました。
国立劇場へはいつも地下鉄の半蔵門駅永田町駅から行くので、建物の裏からまわりこむようにして入ります。新年初めての演奏会なので、正面から訪ねてみました。

国立劇場は前の道路をはさんでお堀、その向こうは皇居で半蔵門が見えます。寒風のなかを皇居一周するランナーの姿も。

劇場の前庭には、いろいろな木が植えられています。ほとんどはまだ冬の姿ですが、紅梅がほころんでいました。かすかにいい香りがします。
横に立て札があって、「平成8年9月、開場三十周年記念公演文楽『菅原伝授手習鑑』を上演するに当たり、太宰府天満宮に公演成功を祈念した際、寄贈を受けた梅」と説明があります。国立劇場には幾度も来ていますが、初めて気づきました。

劇場前には、新春を祝う清酒の積樽が。お正月の華やかな気分がただよっています。

さて、第一線で活躍する演奏家による「邦楽鑑賞会」は今回も豪華な顔ぶれで、プログラムは変化に富む6曲でした。

1 箏組曲 秘曲「八重垣」 箏=今井勉
2 紀の路の奥「四季の段」 箏=萩岡松韻・鈴木厚一 三弦=鳥居名美野 笛=中川善雄
3 「桜川」 三弦替手=米川敏子 三弦本手=藤井泰和
4 「笑顔」 三弦=富山清琴・富山清仁
5 「松廼羽衣」 箏=山勢松韻・岸辺美千賀 三弦=山登松和
6 「新青柳」 箏=野坂操壽 三弦=矢崎明子 尺八=山本邦山

どの演奏も素晴らしかったのですが、1曲目の「八重垣」は日頃あまり聞くことのない名古屋系に伝承される秘曲で、組歌とはいえ調弦も独特で、響きが新鮮でした。
また、「松廼羽衣(まつのはごろも)」は一中節から移された山田流の曲ですが、原曲にあたる一中節「松羽衣」が先月できあがったCDアルバム「古曲の今 第二集」に収められていて何度か聞いているので、違いを興味深く聴きました。

新年から事務所の引っ越しで慌ただしい日々でしたが、ようやく一段落したところで今年初めての演奏会。梅の香りとともに印象に残る一日となりました。

(Y)