じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

うなぎドイツへ行く ドタバタ旅日記(7)

先週は、藤井昭子さんの地歌ライブの様子をご紹介いたしましたが、今週はまだまだ続くドタバタ日記です。先日「ドタバタ日記、どこまで続くの〜?」と T 師にご質問いただきまして・・、いままで「テノール歌手 木下保先生」や「箏・三弦 古典/現代名曲集(22)」「肥後の琵琶弾き 山鹿良之」など、いろいろなシリーズを連載しては中途半端となっています。ドタバタ日記も気づくと途中で終わっているかも・・ふふふ。
さて、ドタバタ旅日記では「地歌ドイツ公演2011」(9/2〜9/9)の様子をお伝えしているのですが、9月4日に行われたバッハハウスでの演奏会は、なぜか演奏が始まる直前に雷が鳴りだし、悪天候の中、なんとか無事に終了したのでした。
9月5日はアイゼナッハから、フランクフルトへ移動。ゲーテハウスでの演奏です。(写真:マイン川沿い、ゲーテハウス)



ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは1749年にフランクフルトで生まれ、『若きウェルテルの悩み』などで知られる、詩人・劇作家・政治家であるドイツの偉大な人物です。ゲーテハウスは、ゲーテ一家の暮らしぶりがわかるように、戦後に復元されたとのことです。また演奏を行った、隣接するゲーテ博物館のギャラリーでは、ゲーテと同時代の画家の作品が展示されています。演奏の様子は9月7日ブログでご紹介しています。

演奏も終わり、少し空いた時間を利用して、ハイデルベルクへ。
ビスマルク広場から東へ延びるハウプト通りを歩くと、ロベルト・シューマンの住んでいた家がありました(短い期間だったようですが・・)。シューマン「ピアノ協奏曲」オススメCDは、11月4日の「ドタバタ日記(6)」の次の日から掲載です!

通り沿いには、聖霊教会(Heiliggeistkirche)があります。


教会を見ていると、録音エンジニアのHさんが、「ほらほら、見てごらん。パイプオルガンの演奏がはじまるよ。」とおっしゃるものだから、ワクワクして待っていたら、準備されていた方は奥へ戻られてしまいました。ガッカリ。

その後、しばらく通りで佇んでいたら、教会から「ゴオオ〜ォォ〜」という地響きにも近い低音が!中には入れず、扉の外で耳を傾けていましたが、ものすごい低い音の重厚な響きは、はじめて聞くものでした。
話が少しそれますが、先日、NHKBSプレミアム 旅のチカラ「心のビートで踊れ 歌手 今井絵理子」(再放送)を見ました。聴覚障害者の息子さんを持つ、歌手の今井絵理子さんが、ワシントンの全米初のろう者ダンスグループ、ワイルドザッパーズを訪ね、耳が聞こえなくても音楽やダンスを楽しむ若者たちと出会うという話でした。ワイルドザッパーズの皆さんは、完璧なリズムでダンスを披露していたのですが、それは音の振動を感じてのことなのだそうです。明るく前向きな今井さんも、さすがに涙を流されていたのが印象に残りましたが、この番組を見ながら、足元から体全体に響いてくる、パイプオルガンの音を思い出してしまいました。

この聖霊教会は、1954年にフルトヴェングラーの葬儀が行われたとのことです。フルトヴェングラー指揮のCDが手元に1枚ありました。《エグモント》作品84序曲が収録されています。この曲は、ベートーヴェン作曲で、ゲーテの戯曲『エグモント』のための曲とのことです。ドイツでは、ハウプト通り一つでも音楽のことを語り続けられるのですね。

(制作担当:うなぎ)