じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

日本民踊・新舞踊協会発足記念パーティーと民踊大会

4月1日より「ビクター民踊・舞踊連盟」から「日本民踊・新舞踊協会」に名称を変更し、新たな船出をした記念のパーティーと「発足記念第53回民踊大会」が4月28日(土)、29日(日)の2日間にわたり都内で行われました。弊財団の藤本草理事長が顧問をつとめる「日本民踊・新舞踊協会」。日本の美しき伝統である舞踊の全国普及を目的に、共に力を注いでまいりたいと思っています。

せっかくですので、2日間の様子を簡単にご紹介させていただきたいと思います。

4月28日(土)は、ホテルニューオータニ鳳凰の間にて、ご来賓、歌手のみなさん、OB、全国の会員のみなさん、総勢275名が出席し、発足記念パーティーが盛大に行われました。協会本部役員紹介、理事長挨拶、ご来賓の祝辞を頂戴した後、記念パーティーの開宴となりました。

特別ゲストコーナーとして、いろんなジャンルで活躍中の皆様が登場されました。まず、津軽三味線奏者として大活躍されている澤田勝仁さん、澤田壽仁さんによる演奏。続いて、いつもお美しい三沢あけみさん(ビクター)の歌唱披露。そして、岐阜県郡上市白鳥町より遠路駆けつけてくださった「白鳥拝殿踊り保存会」の皆様による踊りの披露がありました。この踊りは国選択無形民俗文化財に指定されていて、キリコ灯篭の下で音頭取りの声と下駄の音だけで踊る、素朴で盆踊りの源流とも言える踊りです。初めて生で見る踊りで、目が釘付けになってしまいました。

続いて、ビクターの歌手による「唄とお楽しみ抽選会」。当日は安藤栄子、おもだか秋子、武花千草、曽我了子、須藤圭子、志摩幸子、荒昇吾、藤みち子、鈴木正夫の9名による歌唱披露と、それぞれがこの日のために選んだ思い思いの品をプレゼントするという毎年恒例の抽選会が行われ、出席者全員が抽選券を手に、「当たった!」「おしい!」「はずれた!」と、各テーブル、会場全体が盛り上がりました。

終始和やかな雰囲気の中、パーティーは終盤へ。石川美豊香常任理事による閉会の辞、そして三本締めで終了しました。

次の日、4月29日(日)は新宿文化センター大ホールにて「日本民踊・新舞踊協会発足記念 第53回民踊大会」が行われました。全国から日々練習に励んでいる会員さんが集まり、1年間の練習の成果を発表する場です。衣装や小道具にもアイディアを盛り込み、毎年オリジナリティ溢れるステージが繰り広げられます。

大会の幕開けは、現地民踊「秩父音頭」で、昨年8月に協会本部が現地に赴き、地元埼玉県皆野町の保存会より直接手ほどきを受けたものです。秩父音頭の起源は200年ほど前と言われていますが、踊りの身振り手振りの中に、当時の人々の生計の柱であった養蚕と農耕のしぐさ等が盛り込まれています。

その他、1部では今年の全国総踊り曲として発表した「夢色音頭」と「宝っ子おどり」の披露がありました。この2曲は、全会員が各地で練習し完璧に振付けを習得しています。「夢色音頭」を唄う鈴木正夫、荒昇吾、須藤圭子、「宝っ子おどり」を唄う藤みち子の生歌に合わせて、ステージ上と観客席で全会員が踊る様子は、毎回強い結束力を感じます。今年の「夢色音頭」と「宝っ子おどり」は、東日本大震災を受けて夢と希望、大事な子供たちを題材に作った曲ですので、東北に支部を持つ協会員全員が心を込めて踊ったことと思います。

第2部では、ゲスト歌手による唄のコーナーで、須藤圭子による青森県民謡「津軽あいや節」、オリジナル曲「よさこいソーラン夫婦花」、荒昇吾による宮城県民謡「さんさ時雨」、オリジナル曲「斎太郎島唄」の披露がありました。

そして、ビクターの民謡歌手として大活躍され、昨年11月12日に惜しまれつつ67歳という若さで急逝された歌手江村貞一さんを偲んで、追悼番組として江村さんが唄われた数々の楽曲の中から6曲を、天国の江村さんにささげました。当日、江村貞一さんの奥様とお嬢様もお越しくださり、客席から江村さんのお写真と共に、感謝の気持ちを込めた踊りを見ていただきました。毎年必ず「民踊大会」では元気な唄声を聴かせてくれていた江村貞一さんのことは、私たちはずっと忘れることはないと思います。

第3部にはゲスト歌手による唄のコーナーの第2弾があり、藤みち子による茨城県民謡「磯原節」、オリジナル曲「ゆきやなぎ」、鈴木正夫による北海道民謡「ソーラン節」、オリジナル曲「人生祝い〆」で会場が盛り上がったところで、大会の見どころでもある理事の先生方の社中による踊りの披露に移りました。理事の先生方の指導を直接受けている社中ということで、毎年全会員が熱い視線を送ります。

楳茂都梅延先生振付による「祖谷甚句」、松若寿恵由先生振付の「風運新撰組」、石川美和香先生振付の「男なら」、二代目須藤房静先生による「博多山笠女節」、可知豊親先生による「ドッコイ夫婦節」、松浦登糸子先生による「麦屋節〜早麦や」、粉川豊静麗先生振付の「雨のタンゴ」、東喜和淑秋先生による「ふるさと慕情」、二代目石川美峰先生による「けんばやし」、そして最後に落合弘先生による「海はふるさと」という見応えのあるステージでした。

朝10時30分の開演から夕方5時過ぎまで踊りの世界を楽しんだ会員さんたちは、みなさん笑顔で会場を後にされました。また来年のこの季節、同じお顔を見ることが出来ると思います。

2日間にわたり、日本民踊・新舞踊協会の発足記念行事に携わらせていただき、昨今の日本の伝統的な舞踊を取り巻く厳しい現状を受け止めつつ、今後の舞踊界発展の希望を見失うことなく、全国的な普及活動をしていくことの大切さを感じました。そんな気持ちを胸に、日々の業務に活かせていければいいと思っています。

(K)