じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

現代に生きる日本の伝統楽器

今夜はサントリーホールブルーローズで、宮田まゆみさんが演奏するジョン・ケージ「One⁹」全曲のコンサートを聴いてきました。ケージのちょうど100回目の誕生日の夜。音と沈黙が瞬いて、天の川の星々の飛沫を浴びているような休憩なしの二時間。大変幸福な気持ちになりました。きっとケージさんも天界から聴きにいらしていたことでしょう。静かな響きとしじまの余韻がいつまでも心に残ります。永遠は一瞬のうちにあり、一瞬は永遠なのだと、あたらめて思いました。

この「One⁹」については、先日の当ブログ()でもご紹介していますが、笙のパートは同じ楽譜を使って、ほら貝と共演する「Two³」という作品にもなります。今週末、宮田まゆみさんと同じく伶楽舎に所属する作曲家・笙奏者の東野珠実さんが演奏するジョン・ケージの「Two³」を聴くことができるイベントがあるので、ご紹介いたします。


それは当ブログで何回もご紹介している東京都が毎年行なっている邦楽文化活性化のためのプロジェクト<東京発・伝統WA感動>)の次回のイベント、「現代に生きる日本の伝統楽器」です。今週末、表参道のスパイラルにて開催されます。小沼純一さんのナビゲーションで、箏、琵琶、笙の三つの楽器が取り上げられます。西陽子さん、中村鶴城さん、東野珠実さんという、伝統の継承と未来への創造に取り組む三人のすぐれた演奏家に加え、作曲家の鳥養潮さん、そして坂本龍一さんもビデオ出演。伝統楽器のなかに潜む時代を超えたエネルギーと魅力を楽器のデモンストレーションを交えて紹介。さらに鮮烈な内容の演奏曲目を通じて、未来への創造を担う同時代の息吹を感じ取ることができるという大変ユニークな構成です。これだけの内容で入場料は千円! 皆様、週末はスパイラルでお会いしましょう。

和の魅力発見シリーズ Traditional+(トラディショナル・プラス)
【vol.1】 現代に生きる日本の伝統楽器
日時=平成24年9月9日(日) 16:00開演(15:30開場)
会場=スパイラルホール(
チケット=全席自由 一般:1,000円 学生(高校生以下):500円

【第一部】
楽器の紹介と古典・現代曲のデモンストレーション(ナビゲーター:小沼純一

=西陽子
「六段」八橋検校 作曲/「青森蛙」高橋悠治 作曲(藤井貞和・詩)/「植物文様第十一集」藤枝守 作曲

琵琶=中村鶴城
空海》より上段「嵐の海へ」 中村鶴城 作詞・作曲

=東野珠実
「調子」/「Two³」ジョン・ケージ 作曲、共演・法螺貝=瀬藤康嗣

ビデオ出演:坂本龍一

【第二部】
トーク:東野珠実×中村鶴城×西陽子×鳥養潮(Skype出演)

<委嘱新作>鳥養潮 作曲 "SONORE SONORE for Shou, Koto, Biwa"

http://www.dento-wa.jp/schedule/schedule05.html

上記リンク先で、「出演者からのみどころガイド」が掲載されています。読み所満載なので、ぜひプリントアウトして当日会場へ向かう際にでも予習がてらにお読みください。公演が一段と面白くなるはずです。

それと、今回の「Two³」の演奏では、ケージが晩年に制作したモノクロ長編映画をバックに演奏を行なうとの情報もあります。これも楽しみですね。

(堀内)